
近年、さまざまな災害が起こっているため、本格的に災害グッズを用意する方が増えています。食品や衛生用品はもちろんですが、停電時や外でも使用できる電源を確保しておきたいと考える方も多いでしょう。 災害時の電源確保には蓄電池がおすすめですが、種類や機能は多岐にわたります。そこで今回は、蓄電池の種類の違いと選び方について解説します。
目次
蓄電池とポータブル電源の違い
蓄電池には、据え置きタイプとポータブルタイプの2種類あります。それぞれの違いを紹介します。
据え置き型蓄電池の特徴
据え置き型蓄電池は、設置した場所のみで使用できるタイプです。電気工事や設置工事が必要になるため、一度設置すると移動させられません。場所を変えたい場合は、再度工事が必要です。ただし、据え置き型は太陽光設備と連携でき、電力会社から供給できます。太陽光発電で発電した電気を貯蔵することも可能です。また、対応できる容量が大きいため、家全体の電力をまかなえます。停電時でも、一定時間であれば不自由なく過ごすことが可能です。
ポータブル電源の特徴
ポータブル電源は持ち運べるタイプです。コンセントがある場所であれば、どこでも使用できます。最近では、ペダルやソーラーパネルでできた電気を蓄電しておけるタイプが販売されており、このタイプであればコンセントのない場所でも使用可能です。 ポータブル電源の素材には、主に以下の3つが使用されます。
- リチウムイオン電池
繰り返しの充電にも強い、長寿命なタイプです。ただし、満タンになったにもかかわらず充電し続ける行為を繰り返していると、劣化スピードが早まります。また、高温の場所に置いていると発火する可能性があるため、注意が必要です。ポータブル電源の多くは、この電池を使用しています。
- リチウムポリマー電池
リチウムイオン電池よりも安全性の高いタイプです。軽量のため持ち運びしやすく、ドローンにも使用されています。しかし、高温になると変形したり液漏れする可能性がある点には注意が必要です。
- リン酸鉄リチウム電池
上記の2つのタイプと比べると、高温への耐性が高く最も安全性のあるタイプです。自己放電率も低いため寒い地域でも使用できますが、寒さの許容範囲を超えると、故障や蓄電量が減る可能性があります。メリットの多いタイプですが、2つと比べると価格は高めです。
同じくコンセントのないところで電源のとれる機器として、モバイルバッテリーがありますが、容量に違いがあります。モバイルバッテリーが2500〜20000mAhに対応しているのに対して、ポータブル電源は240〜2000Whです。ポータブル電源の方が容量が大きいため、スマートフォンやパソコン以外にもさまざまな家電に対応できます。
ポータブル電源のメリット

据え置きタイプとポータブルタイプの違いがわかったところで、次はポータブルタイプのメリットとデメリットをみていきましょう。まずはメリットから紹介します。
電源のない場所でも使用できる
ポータブルタイプの特徴でも触れたように、ポータブルタイプの最大のメリットは、どこでも使用できるところです。蓄電できるタイプであれば、電源がないところでも使用できます。 この魅力から、アウトドア用として購入する方だけでなく、最近ではテレワーク時のパソコンの電源を確保するために購入する方もいるようです。コンパクトタイプとパソコンを一緒に持ち運べば、急なオンラインミーティングにも十分対応できます。
導入ハードルが低い
導入コストが据え置きタイプほどかからない点も、魅力的なメリットのひとつです。据え置きタイプは、電気工事と設置工事の費用が発生します。設置する際は、本体価格に加えて工事費用の約20〜35万円[1] ほどが必要です。
一方のポータブル電源は、本体価格のみで使用可能です。導入するための工事の手間も必要ないため、ハードルは低いと感じるでしょう。 電気代に関しては、据え置き型のように削減できるほどのことはできませんが、一定の節約効果は見込めます。
緊急時でもあると安心できる
停電時に家全体の電力をまかなえる点では、据え置きタイプの方が魅力的です。しかし、地震や火災など、家から離れなければならない場合は、ポータブル電源が役立ちます。
ポータブル電源はコンセント代わりになるため、どこでもスマートフォンの充電が可能です。また、万が一外で過ごさないといけないときでも、電気コンロや電気ポットもポータブル電源があれば使えます。 ポータブル電源を非常時用に保管する場合は、電池残量をあらかじめ確認しておきましょう。
ポータブル電源のデメリット

次は、ポータブル電源のデメリットを紹介します。事前に把握して、タイプの選択や保管方法を誤らないようにしましょう。
電池が切れると使えない
ポータブル電源は充電式のため、充電が切れてしまうと、再度充電しなければ使用できません。使用する前には、必ず満充電にしてから持ち出しましょう。 また、ソーラー充電できるタイプを選ぶと、日中であれば充電切れになっても使い続けられるためとても便利です。長時間持ち出したい、容量の大きいものに使用したい場合は、使用時間の長いタイプを選びましょう。
容量が足らない場合もある
据え置きタイプと比べると、ポータブル電源の容量は小さい傾向があります。そのため、使用する家電によっては容量が足りないこともあります。
たとえば、スマートフォンや電気ポット、電気コンロなど小さなものであればポータブル電源でも十分足りますが、洗濯機や冷蔵庫などの大型家電を安定して動かすほどの容量はありません。ポータブル電源は、あくまで緊急時や持ち出して使うことが目的と認識しておきましょう。 また、容量が小さいということから、長期間の使用には向いていません。停電期間が長期にわたるなどのときは、状況によって据え置き型の方が重宝するケースもあるでしょう。
安全性に不安がある
ポータブル電源は日本製だけでなく、海外製のものも販売されています。海外製は日本製のものよりも安価な傾向にありますが、なかには粗悪品が混ざっている可能性もあります。
これは日本製に対してもいえることですが、ポータブル電源を購入する前は、口コミや商品の詳細を確認してから購入しましょう。
安全性とは少し異なりますが、ポータブル電源のほとんどに防水機能がついていません。そのため、雨天時の外での使用や、水回りでの使用は避けましょう。濡れることによって故障すると、使用できなくなります。 水に弱い性質から、ポータブル電源を保管する場合は、万が一のときでも浸水しにくい場所にしましょう。
ポータブル電源の選び方
ポータブル電源は用途に合わせて、容量や使用効率を検討しましょう。以下では、ポータブル電源を選ぶ際のポイントを紹介します。
容量
災害時用として用意しておきたいなら、容量1,200Wh以上のタイプを選びましょう。この容量は、3日間の停電に対して、残量を気にせずに使いやすい容量です。
停電から電力が回復するまでや国からの支援を受けるには、一般的に4日ほどかかると想定されます。このため、最初の3日程度は自分たちでしのぐ必要があるため、3日間まかなえる容量があると安心できるでしょう。
ちなみに、この容量で3日間持たせようとすると、スマートフォンの充電や電気ポットの使用だけでなく、ランタンや季節によっては電気毛布の使用くらいまでまかなえます。
加えて、定格出力1,300W以上あると、オイルヒーターや電子レンジなどの調理家電の使用も可能です。災害時はどれくらい電気を確保できるかが重要になるため、容量は重要視しましょう。 ただし、アウトドアや外出先でのパソコン作業など、モバイルバッテリーのような感覚で使用する場合は、容量が250Wh・定格出力が500W程度で問題ありません。容量の小さいものだと本体価格もお手頃です。
使用効率
どういった用途で使う場合でも、使い方に合わせた使用効率をチェックしましょう。災害時での用途であれば、ACコンセントは2個以上 、さらに出力ポートが豊富なタイプだと便利です。
たとえば、2つのコンセントがあると、ランタンで照らしながらIHクッキングヒーターで料理するなどの使い方もできます。
この機能以外にも、ポータブル電源を充電しながらスマートフォンなどの端末も充電できるパススルー機能や、再充電可能なソーラーパネル充電、コードがなくても充電できるワイヤレス充電機能があると便利です。
とくにソーラーパネル充電機能は、据え置きタイプより容量の少ないポータブル電源のデメリットをカバーできます。長期使用を考える場合は、選ぶポイントのひとつにするとよいでしょう。 ただし、日常の利便性のために持つ場合は、そこまで厳密にこだわる必要はありません。日常使いを想定するのであれば、持ち運びやすさやコンパクトさを重視する方がよいでしょう。
充電方法
充電方法をあらかじめ確認しておきましょう。事前に調べておけば、購入した後に充電できないというトラブルを防げます。
また、充電するための電池は、発火しにくいなど、安全性を考慮しましょう。発火しにくいタイプとしては、リン酸鉄リチウムイオン電池を使用したものがおすすめです。このタイプであれば、温度が上昇しても、ほかの2つのタイプよりも発火リスクが低くなります。また、自然放電も比較的しにくいため、放置している間に充電がなくなるリスクも減らせるでしょう。さらに、繰り返しの充電による劣化も、ほかの2つよりもしにくいため、寿命も長めです。
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まとめ
蓄電池には2種類ありますが、コンセントのないところでの使用を考えるなら、ポータブル電源を選びましょう。ポータブル電源であれば、電源のないところで使用できる以外にも、導入コストが据え置きタイプよりもかからず、緊急時でも安心できます。
ただし、使うには充電する必要がある点や据え置きタイプよりも容量が少ないなど、選ぶ際に確認しておくべき点を把握してから購入しましょう。
購入する際にチェックするポイントは、容量と充電方法に合わせて、使用効率も重要です。どんな目的で購入を検討しているのかを明確にして、用途に合ったものを選びましょう。 ポータブル電源の購入なら「電材ネット」にお任せください。使用効率に合わせたタイプをご用意しています。電材ネットでは、ご購入前にしっかりと事前比較いただけるよう、詳細な商品情報を記載しております。ぜひご覧ください。