家庭内で使用している電気機器やケーブルは、正常に作動していますか。漏電は目に見えないものであり、製品の内部に不具合があっても見ただけでは分かりません。

漏電は単なる電気の流出だけではなく、微量な電流であっても、人体には有害です。製品が発火して、火災に発展する可能性もあるため、注意が必要です。 この記事では、漏電についての基礎知識から原因、予防法までを紹介しています。自身や家族の安全を守るために、ぜひ最後までご覧ください。

漏電とは?

以下で漏電の基礎知識とリスクについて解説します。漏電が原因で重大な事故につながることがあるため、基礎について理解し、対策を講じることが重要です。

漏電のメカニズム

漏電とは、本来流れるべき電気回路以外に電気が流れてしまう状況のことです。電気は通常、決められたルートを通ります。

違う場所を通らないのは、絶縁処理をされているからです。絶縁体という電気を通さない物質で製品を保護することにより、電気が脱線しないようにしています。絶縁体の代表的な素材は、ガラス、ゴム、プラスチック、木などです。 しかし、何らかの理由で、絶縁処理を施された部分が破損または劣化する場合があります。電気への抵抗力が弱まることで、電気が外に漏れてしまいます。この現象が漏電です。

漏電の危険性

漏電が起こると、電気が本来の回路以外の道をつくろうとします。水分を多く含む人間も、電気の通り道として、漏れた電気が流れ込む危険があります。いわゆる感電リスクです。

電流の大きさによる人体への影響は以下のとおりです。

1mA:電気が流れたことを感じる程度

5mA:かなりの痛みを感じるレベル

10mA:耐えられないほどの痛みを感じるが、その場から離脱できる

20mA:痙攣で動けなくなり、呼吸困難になる

50mA:短時間でも非常に危険

100mA:死に至る場合や障害が残る危険がある

また、漏電で過剰な熱が発生することにより、電気機器や配線が発火する危険性もあります。器具の故障や建物火災のリスクもあります。

漏電の原因

漏電の発生には原因があります。あらかじめ対策を立てることで防ぐことは可能です。以下で、漏電の原因について見ていきましょう。

水濡れや雨漏り

漏電の原因が水濡れや雨漏りによる場合です。水は、純水以外は電気を通しやすいのが特徴です。

また、水分が付着すると、製品を保護している絶縁体が劣化します。電気を通さないという絶縁体の機能が低下してしまうため、電流が本来の経路から逸れる危険性があります。屋根や壁の一部の破損や劣化などにより雨漏りは起こるので、該当場所がないかを一度確認してみましょう。 また、湿気も絶縁体が劣化する要因のひとつです。水が建物内に入ってこなくても、梅雨や台風の季節は部屋の湿度が高くなります。なるべく湿度の高い部屋には、電気機器は置かないようにしましょう。

電気配線の劣化や破損

電気配線は、耐用年数が定められています。長期間使用すると、絶縁体の劣化や破損があるからです。

しかし、あくまでも耐用年数は、想定された環境下で使用した場合の期間です。温度や湿度の高い部屋または紫外線のあたる部屋、水のかかる場所などに配線があると、劣化が激しくなり、耐用年数をむかえる前に破損してしまうケースもあります。絶縁体の劣化や破損は、漏電の原因になりかねません。 また、ケーブルを束ねる、折るなどの行為も、発火の原因となります。コードを家具で挟む、踏むなども断線の原因となるため、注意しましょう。

電化製品の劣化や故障

電気製品の劣化や故障も、漏電の原因となりえます。とくに古い電化製品は、内部の部品が経年劣化している可能性があります。内部から変な機械音がする、熱を異常に感じる場合は即座に使用を中止しましょう。

電流の過負荷

コンセントが足りない場合に、タコ足配線をすることはどの家庭でも一般的に行われています。タコ足配線とは、ひとつのコンセントに多くの家電製品をつなげることです。

タコ足配線した家電製品を同時に使用してしまうと、ケーブルに過大な電力が流れてしまう場合があります。ケーブルには流せる電流の限度(許容電流)があるため、それを超えると絶縁体が熱を帯び、溶けてしまう危険性があります。 許容電流は、メーカーのカタログに記載されているため、事前確認が大切です。

小動物の被害

ネズミは近くにあるものをかむ習性があり、配線もその対象となります。配線をかむことで、断線が起こり、漏電の原因となることがあります。

被害を防ぐためには、ネズミが建物内に侵入しないよう対策を講じることが大切です。たとえば侵入経路を塞ぐ、防鼠材を使用するなどの方法があります。 また、配線を好んでかむのはネズミだけではありません。犬や猫、うさぎなどのペットも、遊びの一貫や好奇心から、配線をかむまたは引っかくことがあります。火傷や誤飲、感電を起こさせないためにも、配線カバーをつける、ゲージの位置を変えるなどの工夫が必要です。

漏電のサインは?

以下で、漏電のサインについて紹介します。現在起きている現象が漏電かどうか分からないという方は、参考にしてみてください。

漏電ブレーカーが落ちる

漏電ブレーカーが落ちたら漏電を疑いましょう。漏電ブレーカーとは、漏電を知らせる役割を負っている、分電盤のなかにある装置のことです。

漏電ブレーカーが落ちるということは、漏電が起きているサインです。つまり、どこかの配線や電気器具から電気が漏れている可能性があります。 ただし、ブレーカー自体が壊れていることもあるので、定期的にテストボタンを押して動作確認をしましょう。テストボタンを押すと、漏電表示ボタンが出て、無事にスイッチが切れれば、漏電ブレーカーは正常に作動していることが分かります。

雨の日によく停電する

雨の日に停電が頻繁に発生する場合、漏電が疑われます。電化製品や配線の絶縁体が、水に触れることで劣化し、電流が漏れている可能性があります。 家は経年劣化するものです。台風や豪雨、地震の影響で知らないうちに壁や天井に穴が空いているケースも考えられます。雨水が天井や壁を伝って室内に侵入すると、電気配線やコンセントに水がかかることがあります。

電気代が急増した

漏電は電気が漏れている状況のため、気づかないうちに電力が無駄に消費されています。普段と同じような使い方をしているにもかかわらず、急に電気代が高くなったと感じた場合は、漏電の可能性を真っ先に考えてみましょう。

建物の金属部分がピリピリする

建物の金属部分に触れたときにピリピリとした痛みを感じるのは、微弱な電流が外部に漏れている証拠です。放置すると電流の放出がさらに強くなる可能性があるため、大変危険です。 該当する電化製品や回路の電源を直ちに切り、使用を中止しましょう。また、専門の業者に相談して、問題の確認・修理をしてもらうことも必要です。

漏電の予防策

電流の放出が強いほど、人体に害を与えます。あらかじめ予防策を立てることで、感電や建物火災のリスクを回避できます。重大な事故を未然に防ぐためにも、以下の対策を取りましょう。

アース線

漏電を防ぐためには、アース線が効果的です。アース線とは、配線や器具から漏れ出た電気を安全に地面に逃がすために使用される電極のことです。

もし人が漏電した器具に触れてしまえば感電し、さらに燃えやすいものが近くにあれば、火災の原因にもなりかねません。しかし、アース線を設置することで、感電や火災を未然に防げます。

漏れた電気は、人体やものではなく、アース線を通って地面に流れるようになるからです。 アース線を設置するためには、銅の棒や銅の板を地面に打ち込み、それに導線を接続する工事が必要となります。

漏電遮断器

漏電遮断器は、電気を素早く止めるための安全装置として欠かせない器具です。屋内の配線や電気器具のどこかに漏電が発生すると、瞬時に感知し、即座に電流を遮断してくれます。30[1] mAの電流で作動するため、漏電による感電や火災のリスクを最小限に抑えられます。

近年建てられた住宅には、標準装備されていることが多いですが、築年数がかなり経過している家には設置されていない場合があります。築古住宅に住んでいる場合は、漏電遮断器の有無を確認し、必要に応じて設置を検討しましょう。 ただし、漏電遮断器は、アース線が設置されていないと正常に作動しません。漏電遮断器を設置する場合は、アース線の導入も検討する必要があります。

日常でできる予防策

定期的に電気機器や電源コードを点検し、損傷や劣化がないか確認しましょう。とくに長期間使用している電気機器や配線は、知らないうちに内部が劣化している可能性があるため、新しいものに交換することをおすすめします。 また、同じコンセントに多数の電気機器を接続しないように注意しましょう。電気の過負荷は漏電の原因となりえます。コードを束ねない、折り曲げない、踏まないように注意し、適切な使用を心がけてください。

まとめ

漏電が発生すると、感電や建物火災の危険が高まります。家族を重大な事故から守るためにも、漏電を発生させない環境づくりが大事です。

古いケーブルやコンセント、電気設備の状態を一度確かめて、万が一破損や劣化が見られる場合はすぐに使用を中止しましょう。状況によっては買い替えを検討してみてください。

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