住宅を建てる際、PF管とCD管のどちらを選ぶべきか悩む人も多いでしょう。リフォーム工事をするときに壁に傷をつけずに配線ができるなど、PF管にはさまざまなメリットがあります。

そこでこの記事では、PF管の概要に加えて、CD管との違い、使用するメリット・デメリット、選び方などを解説します。PF管について詳しく知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

PF管とは

PF管は、柔軟性と自己消火性を持つ合成樹脂製の電線管です。「PF」は、Plastic(プラスチック)とFlexible(フレキシブル)の頭文字から来ており、その名のとおり、柔らかくて曲がりやすい性質を持っています。電線やケーブルを保護するために使用され、露出配管や隠蔽配管に適しているのが特徴です。 PF管には、シンプルな単層の「PFS管」と、耐候性に優れた複層の「PFD管」の2種類があります。施工の場所や用途に応じて、適切な管が選ばれます。いずれも軽くて扱いやすいため、カッターで簡単にカットでき、複雑な場所の配管作業も効率的に進めることが可能です。

PF管とCD管の違い

PF管のほかに、同じく合成樹脂製のCD管と呼ばれる管も存在します。CD管はCombined Duct(コンバインドダクト)の略で、合成された素材で作られた管であり、コンクリート埋設用として設計されています。両者は、以下のポイントで異なります。

  • 汎用性
  • 耐燃性
  • 価格

それぞれのポイントで、どのように異なるのかを解説します。

PF管とCD管では、色が異なります。CD管は、コンクリート埋設用として設計されているため、誤って使用しないようにわかりやすくオレンジ色で統一されています。つまり、オレンジ色の管は耐候性がないことを示しており、主に建設現場での使用が一般的です。

一方、PF管には、さまざまな色が準備されています。具体的には、以下の色が存在します。

  • アイボリー
  • ベージュ
  • ホワイト

さまざまな建築や設備に合わせて、柔軟に色を選べるのが特徴です。豊富なカラーバリエーションは、PF管が利用される理由のひとつといえるでしょう。

汎用性

PF管とCD管の違いは、汎用性にもあります。CD管はコンクリート埋設に特化しています。

これに対してPF管は、耐候性が高いため多用途に適しています。コンクリート埋設に加えて、露出配管や隠蔽配管でも使用可能であり、屋外での施工にも役立つのが強みです。そのため、PF管は、建築条件や環境条件下での需要を満たせます。

さまざまな用途で使用できるPF管は、設計者や施工者にとって、選択肢の幅を広げられる材料となるため、とくに建設業界で広く採用されています。

耐燃性

PF管とCD管は、耐燃性の点にも違いがあります。耐燃性とは、材料が炎や高温にどれだけ耐えられるかを示すものです。耐熱性の高さによって、火災時にも燃え広がりにくいかどうかが決まります。

PF管は耐燃性を持ち合わせており、火に晒された際にも自己消火する能力があります。そのため、PF管は屋内外の露出配管を含む多様な環境で、安全に使用することが可能です。

一方、CD管は耐燃性を持ち合わせていません。CD管は主にコンクリート埋設用として設計されており、通常、火災に直接さらされることがないためです。

PF管の耐燃性は、とくに直射日光が強い屋外や、火災のリスクがある場所での使用において役立ちます。たとえば、太陽光発電の設備などで用いられる複層構造のPFD管は、長期にわたり安定した性能を提供し、設備を保護します。

価格

CD管はコンクリート埋設用に設計されているため、製造コストは比較的低く抑えられています。その結果、安価な価格で販売されていることがほとんどで、耐燃性や汎用性を重視しない特定の用途やコストを重視するプロジェクトでは選ばれやすいといえるでしょう。

一方、PF管は自己消火性や耐候性を持つ高品質な材料で製造されるため、価格が比較的高めに設定されています。高価格ではあるものの、露出配管や隠蔽配管など、より広い用途に適応する場合は、PF管が選ばれることが多いです。 このように、PF管とCD管では用途と価格が関連しており、各プロジェクトに応じて適切な選択が求められます。

PF管のメリット・デメリット

PF管のメリット・デメリットは、以下の表のとおりです。

メリットデメリット
・施工しやすい
・持ち運びしやすい
・屋内外で使用できる
・接合や接着の必要がない
・壊れやすい
・寒暖差の影響を受けやすい

それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

メリット

PF管は柔軟性が高く、手で簡単に曲げられます。そのため、狭い空間や複雑な形状の施工場所でも、容易に設置することが可能です。

さらに、ナイフや専用のカッターで簡単に切断することもできるため、施工時間の短縮につながります。また、PF管は滑らかな内面を有しているため、電線の引き込み作業がスムーズに行え、作業効率を向上させることも可能です。

PF管は構造上、軽量で持ち運びやすい利点もあります。コイル状に巻かれた状態で提供されることが多いため、現場への運搬や保管が楽に行えます。

さらに、屋外での使用にも適しており、一定の耐候性を持っていることも特徴です。外部環境にさらされる場所でも安心して使用可能です。

また、PF管は非伝導体であるため、金属管に必要なボンディングが不要です。電磁干渉の問題を避けられるため、設置がさらに簡単になるでしょう。非磁性であることも特徴で、電子機器の近くでの使用にも適しています。 このように、PF管にはさまざまな利点があるため、さまざまな工事現場で使用されています。

デメリット

PF管には多くの利点がありますが、いくつかのデメリットも存在します。

まず、PF管の物理的な強度についてですが、金属管に比べて折れやすく、潰れやすいです。PF管は柔軟性が高い合成樹脂で作られているため、重い物が上から加わったり、強い圧力がかかったりすると、形状が変形しやすいことが影響しています。

また、PF管は季節の影響を受けやすい点も注意が必要です。冬場には低温により管が硬くなり、曲げる際に割れるなど破損しやすくなるため、施工がより困難になります。 逆に、夏場は高温で柔らかくなり過ぎることもあり、予想していない形に曲がってしまうこともあるでしょう。こうしたデメリットを踏まえて、使用環境や条件を十分に考慮したうえでPF管の使用を検討しましょう。

PF管の選び方

PF管を選ぶ際は、以下4つの事項を考えて、自分の状況によりふさわしいものを選択しましょう。

  • 種類
  • 用途
  • サイズ
  • メーカー

それぞれのポイントについて解説します。

種類

PF管には、PFSとPFDの2種類があり、それぞれ特性を持っています。

PFSとは「シングル」を意味する単層構造の管で、一般的な用途に適しており、柔軟性と軽量性から、手で簡単に曲げることが可能です。また、耐久性に優れており、屋内外を問わずさまざまな環境での配管作業に使用できます。

一方、PFDは「ダブル」を意味する複層構造の管で、とくに過酷な環境下での使用に適しています。PFDは耐候性と耐久性がさらに強化されており、紫外線が強い屋外や太陽光発電設備の配線保護など、厳しい条件下での利用が可能です。

PFD管は、強化された特性のために価格が高めですが、長期にわたる安定した性能が求められる場合には最適な選択肢となるでしょう。PF管を選ぶ際は、上記の特性を理解し、施工環境や必要条件により適したものを選ぶことが重要です。

用途

PF管は自己消火性があるため、さまざまな用途で使用可能です。火災時にも燃え広がりにくくするため、屋内外の露出場所や隠ぺい場所での使用を考えている場合は、とくに役立つでしょう。

PF管は、耐候性もあるため、屋外環境で使用することも可能です。建物の外壁や庭など、直接的な天候の影響を受ける場所での配管にも安心して使用できます。 PF管を選ぶ際は、設置場所や目的に応じて適切な防水対策を施すことも重要です。防水対策することで、内部への水の浸入を防ぎ、長期間安全な使用が可能となります。

サイズ

PF管を選ぶ際は、適切なサイズを選ぶようにしましょう。サイズが適切でないと、電線の押し込みが困難になったり、破損のリスクが高まったりするため、注意が必要です。

適切なサイズを選ぶためには、通す電線の太さと本数を正確に把握する必要があります。たとえば、直径2.6mmの単線を7本使用する場合、最小内径として28mmのPF管を選ぶとよいでしょう。

将来的に追加する可能性のある電線も考慮に入れ、少し余裕を持たせたサイズを選ぶこともひとつの方法です。後の拡張や修正が容易になり、長期的に見て効率的な選択となる可能性があります。 このように適切なサイズのものを選ぶことで、電線が適切に収納されて保護されるため、安全性と機能性を高められます。

メーカー

PF管を選ぶ際には、メーカーごとに異なるブランド名や製品特性を理解することが重要です。代表的なメーカーは、以下の3社です。

  • 未来工業株式会社の「ミラフレキ」
  • パナソニック株式会社の「パナフレキ」
  • 古河電気工業株式会社の「プラフレキ」

メーカーごとの特徴を把握し、用途や設置環境に合わせてPF管を選ぶことが、より効果的な配管工事の実現には欠かせません。
電材ネット取扱中のPF管はこちらからご覧いただけます。

まとめ

PF管は柔軟性と自己消火性を活かし、さまざまな建築や環境に使用できる便利な電線管です。

PF管とCD管は用途や耐久性で異なり、PF管を選ぶ際は、種類や用途、サイズ、メーカーを考慮する必要があります。適切なPF管を選ぶことで、安全かつ効率的な施工が期待できるため、自分の状況を踏まえて最適な製品を選びましょう。 どのような製品がよいのかわからない場合は、電材ネットの利用を検討してみてください。詳細にカテゴリー分けしているため、求めている商品がすぐに見つけられるはずです。一定額以上の購入で送料無料のサービスも実施しています。