コンセントにはさまざまな種類があり、私たちの生活に欠かせない電力を供給する重要な役割を担っています。しかし、種類や用途を正しく理解していないと、思わぬトラブルを引き起こす可能性もあります。この記事では、コンセントの種類やそれぞれの特徴について詳しく解説します。また、日常生活で注意すべきポイントやトラブルを未然に防ぐ方法、さらに増設と付け替え方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
コンセントの種類とは?
コンセントにはいくつかの種類があり、それぞれの用途に合ったものを選ぶことが大切です。おもなコンセントの種類は以下の4つです。
- 単相100V
- 単相200V
- 三相200V
以下では、これらのコンセントの特徴について詳しく解説します。
単相100V
単相100Vは、日本の一般家庭で多く使用されているコンセントです。小型の家庭用電化製品や照明器具など、日常生活で使用する電化製品がこの電圧で動作します。
コンセントの形状は、縦長の2つの差し込み口を持ち、住宅の壁や天井などに設置されています。2つの差し込み口にはそれぞれ異なる役割があり、右側の穴は電圧がかかっている一方で、左側の穴は地面に接続され、余分な電気を外へ放出します。
単相100Vは、多くの場所ですでに使用されており、特別な設備工事を行う必要がないため、設置が簡単です。また、コスト面でも優れており、初期設置費用や電気料金が比較的低く抑えられます。
しかし、 大型の業務用機器や高出力が必要な機器には、適していないコンセントです。業務用の機械を動かせる程の電力は得られないため、工場などで使われることはほとんどありません。
単相200V
一般的なコンセントの2倍の電力を供給できるのが「単相200V」です。エアコンやオーブン、電子レンジなど、比較的大きな電力を必要とする大きい家電製品に使用されます。
単相100Vのコンセントよりも高い電圧を供給できるため、より安全に使用するために、大型の家電製品にはアースが設置されていることが多いです。しかし、初期の設備工事が必要で、設置コストが高くなる可能性があり、単相100Vと比較すると、感電のリスクが高いです。 近年では、IHクッキングヒーターや食器洗い乾燥機、洗濯乾燥機や浴室衣類用乾燥機など、単相200Vのハイパワーな家電製品の利用が増えています。
三相200V
三相200Vのコンセントは、おもに業務用の設備や工場などで使用されているため、普段目にすることは少ないでしょう。モーターや大型機器の駆動に適した設計で、3本の差し込み口を備えています。
三相200Vと単相200Vの違いは、電気を流す導線の数です。単相200Vでは、単相3線式が使われており、2本の電圧線と1本の中性線をどのように利用するかで、100Vと200Vの両方に対応できます。
一方、三相200Vは、3本の電線すべてに200Vの電圧が流れているため、より大きな電力を供給できます。これにより長時間の使用が可能で、電力供給も非常に安定しているため、機器の性能を最大限に引き出せるでしょう。 しかし、設置には専門の電気工事が必要となり、時間と手間がかかるため、設備工事や初期設置にかかるコストが高くなることもあります。
コンセントにはさまざまな機能がついたものがある
一般的な種類以外にも、以下のような特別な機能が付いたコンセントが多数あります。
- 防水コンセント
- シャッターつきコンセント
- 床用コンセント
- USB用電源コンセント
- マグネットコンセント
- マルチメディアコンセント
安全性や利便性を向上させるために開発され、生活をより快適にしてくれる商品です。以下では、特殊コンセントの機能について詳しく解説します。
防水コンセント
防水コンセントとは、雨水がコンセントのプラグに入らないようにフードが取り付けられ、雨対策が施された屋外用のコンセントのことです。屋外や塵埃の多い場所、水のかかる可能性がある場所で使用されています。庭やバルコニーでの電動工具の電源や、イルミネーションを点灯させるための電源として活用されています。
シャッターつきコンセント
シャッターつきコンセントとは、差込口にホコリの侵入を防止するシャッターが付いています。未使用時は、自動でシャッターが閉じることで、ほこりや異物の侵入を防ぐだけでなく、子どもの指や金属製品差し込みによる感電事故を防ぐことが可能です。 ほこりが溜まりやすい場所や長期間使用しないコンセントに適しています。
床用コンセント
床用コンセントとは、床に設置されるタイプのコンセントで、おもにオフィスや商業施設で使用されます。とくに、会議室や多目的ホールなど、複数の電源が必要な場所に採用されることが多いです。壁面に余計な配線を通さずに済むため、スペースを有効活用できます。 使用しないときは床と同じ高さに収納されるので、歩くときの邪魔になりません。また、耐荷重性や防塵性にも優れており、床に机などを置く環境でも安心して使えます。インテリアと調和しやすく、見た目がすっきりするのも魅力のひとつです。
USB用電源コンセント
USB用電源コンセントとは、従来のAC電源に加え、USBポートが組み込まれているコンセントです。スマートフォンやタブレットなどの充電において、非常に高い利便性を発揮します。専用のアダプターを用意しなくても、直接電子機器を充電できる点は大きなメリットです。このタイプのコンセントは、リビングや寝室、オフィスなど、さまざまな場所で活躍します。USBポートの数や出力を選べるタイプもあり、複数のデバイスを同時に充電することも可能です。近年ではホテルやカフェなど、公共の場でも広く採用されています。
マグネットコンセント
マグネットコンセントとは、磁石の力で接続できるコンセントです。通常のコンセントに比べてプラグの脱着が容易で、高齢者や身体の不自由な方でも扱いやすいのは大きな魅力でしょう。 このコンセントは、力を入れずに接続できるため、配線を傷めることが少なく、長期間の使用にも耐えられます。万が一引っ張られても簡単に外れるため、機器やコンセント自体へのダメージを防ぐことが可能です。
マルチメディアコンセント
マルチメディアコンセントとは、電源コンセントに加えて、LANポートやテレビアンテナ端子、電話線端子など、さまざまな通信インフラを一元的に提供するコンセントです。とくに、情報機器の多いオフィスやホームシアターを備えた家庭で利用されています。 配線が整理され、見た目もすっきりするのは非常に大きなメリットです。複数のデバイスを1か所で接続できるため、利便性も大幅に向上します。近年マルチメディア対応の住宅が増えているため、今後の家庭環境でも需要が高まるかもしれません。
気をつけたいコンセントのトラブル
コンセントは、使用中に以下のようなトラブルが起きやすいため、注意が必要です。
- コンセントの劣化
- 電源コードの破損
- タコ足配線
- トラッキング現象
- コンセントとプラグの間にゆるみがある
- 電線が機能していない
- 電源オンの状態でさす
ここでは、各トラブルの内容と対策を解説します。
コンセントの劣化
コンセントの劣化は、長期間使用していると避けられない問題です。劣化が進むと接触不良が起き、電気が安定供給されなくなります。
プラグを抜き差しする際に違和感があったり、コンセントが熱を帯びていたりする場合は危険です。劣化が進んだコンセントを放置すると最悪の場合、火災が起きる可能性があります。 とくに、コンセントの周りが黒ずんでいたり焦げ臭いにおいがしたりする場合は、早めに交換を検討しましょう。必要に応じ、プロの電気工事士に相談すれば、劣化による事故を防げます。
電源コードの破損
電源コードの破損も、よく見られるトラブルのひとつです。コードが踏まれたり引っ張られたりすると、内部の配線が断線し被覆が剥がれてしまうことがあります。電気が流れない、ショートが発生するなどの現象が起こるため、破損した電源コードは処分しましょう。 破損したコードをそのまま使用し続けると、感電や火災のリスクがあるため禁止です。とくに、子どもやペットがいる家庭では、電源コードにいたずらをされないよう目を配りましょう。定期的にコードの状態を確認し、破損が見つかったら速やかに交換をしてください。
タコ足配線
タコ足配線とは、複数の電源タップを使い、ひとつのコンセントから多くの機器に電源を供給する方法です。一見便利に思えるこの方法は、電流の過負荷を引き起こしやすく、非常に危険です。
とくに、電力を多く消費する機器を同時に使用する場合には、絶対にタコ足配線を避けてください。コンセントや配線が過熱し、最悪の場合火災につながります。 タコ足配線を避けたいなら、電力消費のバランスを考慮するのが効果的です。必要に応じて別のコンセントを使用するか、専用回路を設けましょう。
トラッキング現象
トラッキング現象とは、差しっぱなしになったコンセントと電源プラグの間にほこりがたまり、そこに湿気が発生することで、漏電し発火する現象です。
冷蔵庫やテレビ、洗濯機などの家電製品を長期間コンセントに差し込んだまま使用すると、プラグ部分にホコリが溜まりやすくなり、トラッキング現象が発生するリスクがあります。 トラッキング現象を防ぐためには、定期的にコンセント周りのほこりを掃除しましょう。また、トラッキング現象防止機能が備わった電源プラグやタップに変更すると、トラッキング現象のリスクを減らせるでしょう。
コンセントとプラグの間にゆるみがある
コンセントとプラグの間にゆるみがあると、ホコリがたまりやすくなる環境が生まれます。
また、コンセントとプラグが接触不良のまま電力を多く消費する機器を使用すると、接触部分が発熱しやすく、過熱のリスクが高まります。 初めに指したときは問題がなくても、後にゆるみが発生している可能性もあります。問題を防ぐために、コンセントやプラグの状態は定期チェックしましょう。とくに、古いコンセントや頻繁にプラグの抜き差しをする場所では、注意が必要です。
電線が機能していない
そもそも電線が機能していない場合、電気が正常に供給されません。電線の劣化や損傷、断線が電気系統が機能しないおもな原因です。とくに、電線が古くなっている場合や、過去に修理や増設が行われた場所では問題がよく起こります。 問題が発生した場合は、速やかに専門の電気工事士に点検を依頼してください。古い電線をそのまま使用し続けず、定期的なメンテナンスや交換をすることが事故の防止につながります。
電源オンの状態でさす
接続機器の電源がONになったままの状態でプラグを差すことは推奨されていません。 電源がオンの状態でプラグを差し込むと、瞬間的に大きな電流が流れます。機器に過負荷がかかり、故障や火災の原因となるため非常に危険です。安全に使用するためには、プラグを差し込む前に必ず電源がオフになっていることを確認してから差し込んでください。
コンセントのトラブルの防止対策
使用方法を正しく守っていても、コンセントにトラブルは起きます。できるだけトラブルが起きないよう、以下の対策を取り、コンセントを大切に扱いましょう。
- コンセントカバーをつける
- コンセントの容量をオーバーしない
- プラグの抜き差しに注意する
- 定期的なホコリの除去
各対策をこれから詳しく解説します。
コンセントカバーをつける
使用していないコンセントの差し込み口を保護し、ほこりや異物の侵入を防ぐカバーを取り付けるのは効果的です。ほこりがたまりにくくなり、トラッキング現象の発生リスクを低減できます。見た目もすっきりとした印象になるため、室内を綺麗に見せられるのもメリットです。 また、コンセントカバーは小さな子どもがいる家庭で、感電事故を防ぐための手段としても利用されます。大人の力で簡単に取り外しでき、必要なときにはすぐに使用可能なため、利便性も損ないません。
コンセントの容量をオーバーしない
ひとつのコンセントに多くの機器を接続すると、電力が集中し電気容量を超えるケースがあります。配線が過熱し、火災のリスクが高まるため非常に危険です。とくに、電気ヒーターなどの高出力機器を使用する場合には、電気容量のオーバーに注意しましょう。 容量オーバーを防ぐためには、電源タップに表示されている許容電流を確認しましょう。接続する機器の合計消費電力が、基準値を超えないことが重要です。別のコンセントを使用したり、電気工事士に相談して専用回路を設けたりするのも検討しましょう。
プラグの抜き差しに注意する
プラグの抜き差しは、コンセントやプラグ自体に負荷をかける作業です。無理な力で引き抜いたり、斜めに差し込んだりすると、接触部分が摩耗し接触不良の原因となります。とくに内部でスパークが発生すると、火災の原因になりやすいです。 安全に使用するためには、プラグをまっすぐにして力を入れずに抜き差ししてください。また、長期間同じプラグを抜き差ししている場合は、コンセントやプラグの状態を定期的に確認すべきです。摩耗が進んでいる場合には、交換を検討してください。
定期的なホコリの除去
コンセント周りにたまるほこりは、トラッキング現象の主要な原因のひとつです。ほこりが蓄積されると、湿気と結びついて絶縁性が低下し、放電が起こりやすくなります。とくに、キッチンや洗面所など湿気が多い場所では、こまめな掃除が必要です。 ほこりの除去には、乾いた布や掃除機を使用しましょう。掃除の際には電源をオフにし、プラグを抜いてから行うのを忘れないでください。定期的なメンテナンスをすれば、ホコリによるトラブルの発生リスクを大幅に減らせます。
コンセントの増設と付け替え方法
コンセントの数を増やしたり、付け替えたりするためには、電気工事店に依頼する必要があります。以下では、コンセントの増設と付け替え方法を解説します。
既存の電気配線から分岐する
既存の電気配線から新しいコンセントを分岐する方法は、比較的簡単でコストも抑えられます。しかし、電気配線の容量や回路のバランスを考慮しなくてはなりません。過負荷や電圧低下などの問題が発生する可能性もあるため、専門家に工事を依頼しましょう。 専門の電気工事士が回路の容量や電力消費をしっかりと計算し、適切な工事を行います。分岐する場所やケーブルの取り回しにもしっかり行い、回路の分離をしてくれるでしょう。適切な処置を行わないと安全性に影響を及ぼすため、作業は個人で行わないようにしましょう。
分電盤から専用の配線を引く
分電盤から専用の配線を引いてコンセントを増設する方法は、より安全で信頼性が高いです。新コンセントは専用回路に接続されるため、電力の安定供給が期待でき、過負荷の心配も少なくなります。 分電盤からの配線工事をするには、専門的な技術が必要です。素人が行うと重大な事故を引き起こす可能性があるため、増設は専門の電気工事業者に依頼するようにしましょう。工事後には適切な検査を行い、問題がないかを確認してもらいましょう。
コンセントを増設する
新しくコンセントを増やすときは、まずどこに設置するかを考える必要があります。便利に使えるようにするためだけでなく、配線の取り回しや安全性にも注意して場所を決めましょう。また、コンセントの種類を選ぶことも大事です。
たとえば、キッチンや洗面所など水を使う場所には、防水タイプのコンセントを選ぶことで安全性が高まります。 さらに、家具の配置や使う機器に合わせて、コンセントの高さや位置を工夫することも大切です。たとえば、デスク周りでは足元だけでなく、デスクの上にもコンセントを設けると作業がとても効率的になります。
付け替え・増設工事は専門業者に依頼しよう
コンセントの付け替えや増設工事には、電気の知識と技術を必要とします。自分で行おうとすると、感電や火災などのリスクが高まるうえに、命に関わる事故を起こしかねません。 信頼できる業者に安全性と品質を確保したうえで、電気工事をしてもらいましょう。なお、業者によっては保証サービスを提供している場合もあります。万が一のトラブルが発生した際にも迅速に対応してもらえるため、長期的にコンセントのメンテナンスを依頼可能です。
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まとめ
コンセントは、日常生活や業務において欠かせない存在です。家庭用と業務用では求められる性能や機能が異なるため、新設する際には用途に応じた選択を心がけましょう。
コンセントに関するさまざまなトラブルのリスクを理解し、適切な防止対策をするのも大切です。コンセントの安全な使用環境を、長期にわたり維持できます。増設や付け替えが必要な場合には、専門業者に依頼し、適切な工事をしましょう。
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