漏電遮断器は配線用遮断器と似ている部分もあり、その仕組みについて詳しく知らないという人もいるかもしれません。漏電遮断器にはいくつかの種類があり、適切な形式のものを選定しなければ、漏電を防げなかったり、大規模な停電に繋がる恐れもあります。

この記事では、漏電遮断器の仕組みや種類、選び方などについて解説します。漏電遮断器について理解を深め、実務に活かしたいという方はぜひ参考にしてみてください。電材ネットでは、15時までのご注文で当日出荷が可能です。今すぐ漏電遮断器が必要な方はぜひお問い合わせください。

漏電遮断器とは

漏電遮断器とは、電気器具や配線などにおいて漏電を検知した際、感電事故や火災などを防ぐために電気回路を自動的に遮断する安全装置のことです。「漏電ブレーカー」や「ELCB(Earth-Leakage Circuit Breaker)」とも呼ばれます。一般的に分電盤の中央にあり、漏電遮断器や漏電ブレーカーと記載されていることが多いです。まずは、漏電遮断器の原理やその必要性について解説します。

原理

漏電遮断器は、回路内の行きの電流と帰りの電流との差を検知し、一定以上の差になった場合に回路を遮断するという仕組みになっています。

正常な状態であれば、行きの電流と帰りの電流に差が生じることはありません。それが何らかの原因によって漏電している場合、電流値に差が出るというわけです。漏電している状態の電気機器に触れることは非常に危険です。漏電遮断器を設置することで瞬時に電流が遮断されるため、感電のリスクを最小限に抑えることができます。

必要性

漏電遮断器の必要性は、漏電による感電事故や火災などの防止にあります。人の体では、2~3mAの電流が流れるとピリピリと感じますが、この程度では命の危険はありません。

それ以上~十数mAの電流が流れると運動神経が麻痺して動けなくなり、危険な状態に陥ります。そして数十mAの電流になると、自律神経が麻痺して死に至ります。また、漏電により火災が発生するときの電流値は、数百mA~数A以上です。漏電遮断器は、15mA~30mA程度の漏電を検知すると電気回路を遮断する装置です。湿気や水気のある場所で電気機器を使用する場合や、鉄板や鉄骨など導電性の高い場所で可搬性の電動機械器具を使用する場合には、漏電遮断器を設置するよう定められています。

漏電遮断器と配線用遮断器の違い

漏電遮断器と似たものに配線用遮断器があります。電路を遮断して事故を防ぐということは共通していますが、検知する電気的異常の種類が異なっています。

仕組みは似ていますが、漏電遮断器は漏電を検出した際に回路を遮断して感電を防止するのに対し、配線用遮断器は電路に異常な電流が流れた際(規定を超える過電流が生じた際)に回路を遮断して回路や機器を保護するという明確な違いがあります。

また、漏電遮断器と配線用遮断器の違いは、次のような見た目から見分けることも可能です。 漏電遮断器には、定期メンテナンスの際に使用するテストボタン(赤色・緑色・灰色)や、漏電を検知すると飛び出す「漏電表示装置」、漏電遮断器がトリップする数値を表す「感度電流表示」が記載されているのが特徴です。

漏電遮断器の種類

漏電遮断器は感度電流や動作時間によっていくつかの種類に分類されており、大まかに「高感度形」「中感度形」「低感度形」という3種類があります。誤った使い方をすると、大規模な停電を引き起こしたり、漏電を検知できなかったりする危険性もあるため、正しい形式のものを設置することが大切です。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

高感度形

感度電流が5~30mAのものを高感度形といいます。

高感度形のうち、動作時間が0.1秒以内のものは高速形と呼ばれます。漏電を検知すると即座に回路が遮断されるため、主要な配線に設置すると、配線が繋がった先のどこかで漏電が発生した場合、設置されている配線全体で停電してしまう恐れがあるため注意が必要です。

動作時間が0.1~2秒以内のものは時延形と呼ばれ、主要な配線に設置して順番に遮断器を時延します。漏電を検知してから遮断するまでの間に一定の時間を設けることで広範囲の停電を防止しつつ、漏電被害を抑えることができます。動作時間が0.3秒以内のものは反限時形と呼ばれ、定格感度電流が2倍になると0.15秒以内に、5倍になると0.04秒以内に変わります。反限時形は、危険性が低い場合動作しないという特性があります。

中感度形

感度電流が50〜1,000mAのものを中感度形といいます。動作時間が0.1秒以内のものは高速形と呼ばれ、キュービクルの配電用遮断器の幹線を保護する際などに使用します。また、動作時間が0.1~2秒以内のものは時延形と呼ばれ、電路亘長(こうちょう)が長い場合や回路の容量が大きい場合に、幹線を保護するために使用します。

低感度形

感度電流が3〜20Aのものを低感度形といいます。動作時間が0.1秒以内のものは高速形、0.1〜2秒以内のものは時延形と呼ばれ、アーク地絡損傷保護を目的とする場合に使用されます。

漏電遮断器に関するQ&A

最後に、漏電遮断器の選び方と交換時期について解説します。ぜひチェックしてみてください。

選び方は?

漏電遮断器を選ぶ際は、まず定格電流とフレームサイズを決定しましょう。定格電流はアンペアトリップ(AT)ともいい、ブレーカーが回路遮断動作を開始する電流値を指します。定格電流値を超えると、ブレーカーが作動します。

フレームサイズはアンペアフレーム(AF)ともいい、ブレーカー本体の大きさと、設定できる最大の定格電流を意味します。定格電流の値は、必ずフレームサイズの大きさ以下になるように設定してください。

次に、設置場所と設置の目的を明確にします。内線規程1375-2では「感電事故防止を目的として施設する漏電遮断器は、高感度・瞬時形のものであること。(感度電流30mA以下、動作時間0.1秒以内)」と定められています。

内線規程とは電気設備に関する民間の自主規格で、電気工事者の施工マニュアルとして広く活用されているものです。

また、感度電流の選び方は次の通りです。水気のある場所で感電の危険性が大きい場合や、移動形・可撤形機器で接地が確実にとれない場合は、10mA・15mA・30mAを選びましょう。

大容量回路で誤動作する恐れがある場合や、多数の分岐の主幹として使う場合は、100mA・200mAまたは100/200/500mA切替を選びましょう。 接地を確実にとった機器の場合は、10mA・15mA・30mA・100mA・200mAおよび100/200/500mA切替の、いずれの感度電流を選定することも可能です。

交換時期は?

日本電機工業会「低圧機器の更新推奨時期に関する調査報告書」では、15年が漏電遮断器の交換の推奨時期とされています(住宅用は13年)。交換推奨年数未満であっても、定期点検で異常が確認された場合や劣化が進んでいる場合には、早めに交換することが大切です。

まとめ

漏電遮断器は感電事故や火災などを防止するため、漏電を検知した際に電気回路を自動的に遮断する安全装置です。湿気・水気のある場所での電気設備や、鉄板・鉄骨上で電動機械器具を使用する場合などに、設置が義務付けられています。

感度電流や動作時間ごとにいくつかの種類があり、正しい形式のものを設置しなければいけません。15年が交換の推奨時期とされていますが、定期点検で異常が確認された場合や劣化が進んでいる場合には、早めに交換するようにしましょう。電設資材をお買い得な価格で販売している電材ネットでは、漏電遮断器も多数取り揃えております。在庫品であれば、平日15時までのご購入で当日中の出荷が可能です。漏電遮断器をお探しの方は、ぜひお気軽にご利用ください。

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