家電量販店やインテリアショップに照明器具を見にいくと「引っ掛けシーリング対応」と表記されている製品があります。引っ掛けシーリングは、天井に照明器具を取りつけるときに必要なアイテムです。この記事では、引っ掛けシーリングの役割や種類、ローゼットとダクトプラグの違いについて解説しています。引っ掛けシーリングの取りつけ手順も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

引っ掛けシーリングとは

引っ掛けシーリングは、天井に照明器具を取りつけるための土台で、コンセントの役割を果たします。 「シーリング」は英語で「天井・天井板 」を意味しており、引っ掛けシーリングはその名のとおり「天井に引っ掛ける」ことを指します。昔の家は、天井から電球を吊り下げて室内を照らしていましたが、現在は天井に直接取りつけて室内を広く照らすタイプの照明器具が主流になりました。引っ掛けシーリングは、天井に取りつける電源ソケットと、照明器具側のシーリングキャップを接続して使用します。電源ソケットは天井に引いた配線に接続され、照明器具に電気を供給します。

電源ソケットとシーリングキャップを接続する方法は、電源ソケットにあいている穴にキャップの金属端子を差し込み、決まった方向にひねるだけで、比較的簡単に行えます。カチッと音がしたら、きちんと接続された合図です。 電源ソケットとシーリングキャップが固定されると、指定された耐荷重の範囲内であれば、照明器具の重さに耐えられます。ロック機能のついた引っ掛けシーリングキャップをはずすときは、ロック解除ボタンを押しながらキャップを回します。

引っ掛けシーリングの種類

引っ掛けシーリングの電源ソケットには互換性があり、一般的にどんなタイプのシーリングキャップでも接続できます。照明器具を探すときは、引っ掛けシーリング対応の照明を選びましょう。 引っ掛けシーリングの種類によっては、取りつけできる照明器具の重さなどが限定される場合があるため、注意してください。以下では、よく使われる引っ掛けシーリングの種類を紹介します。

角型引っ掛けシーリング

角型引っ掛けシーリングは、ブロックのような長方形の形をしたタイプの照明器具です。木材と調和しやすいデザインで、とくに和室の天井にある細長い木材(竿縁)に近い幅のため、一緒に設置しても違和感がなく、和室でよく使われています。

見た目はコンパクトで、すっきりとしています。耐荷重はあまり大きくなく、丸型に比べて安定性に劣るため、重量のある照明器具を取りつけるには不向きです。 一般の木造住宅によく見られ、吊り下げタイプの和風ペンダントライトを取りつけるためのコンセント代わりに使われることがあります。

丸型引っ掛けシーリング

丸型引っ掛けシーリングは、円盤のような形をしていて、目透かし天井の和室や洋室の天井、浴室に使われることが多いタイプです。角型のような角がなく、丸みがあってやわらかい印象です。 サイズが大きめなので存在感があって目立ちますが、設置面が広いことにより、照明器具を取りつけたときの安定性が高くなります。

丸型フル引っ掛けシーリング

丸型フル引っ掛けシーリングは、丸型引っ掛けシーリングの外周にツバがついたタイプです。このツバがついていることで、照明器具を取りつけたときの安定性がアップします。 重量のある照明器具の取りつけには、高荷重のシーリングキャップを使用するのがおすすめです。サイズが大きく、外観をすっきりさせたい場合には向いていません。丸型フル引っ掛けシーリングも、目透かし天井の和室や洋室に設置されるケースが多いでしょう。

フル引っ掛けローゼット

フル引っ掛けローゼットは、耐荷重性が高い引っ掛けシーリングです。耳のようなハンガー部分にチェーンをかけられ、5kg超の重量のある照明器具も支えられます。

ハンガー部分をネジ止めできる構造になっていて、より強度が高く安定性のあるタイプです。シーリングキャップを取りつけたときの大きさは、丸型引っ掛けシーリングと同じくらいです。 目透かし天井の和室や洋室に使われる点も、丸型引っ掛けシーリングと共通しています。

埋め込みローゼット

埋め込みローゼットは、円盤の形をした、薄型のタイプです。天井に埋め込んで設置するので、露出して見える部分は少なく、ほとんど目立ちません。しかし、耳のようなハンガー金具にネジ止めできるため、見た目のイメージとは違って耐荷重性は高いです。 5kgを超える照明器具を取りつけるときは、フル引っ掛けローゼットと同じように、ハンガーにチェーンをかけて重量を支えます。埋め込みローゼットは、マンションの室内によく使われています。

ローゼットやダクトプラグとの違い

引っ掛けシーリングと似た用途の「ローゼット」や「ダクトプラグ」というものがあります。適切なアイテムを選択できるように、ローゼットやダクトプラグと、引っ掛けシーリングの違いについても知っておきましょう。

ローゼットとの違い

引っ掛けシーリングとローゼットは、どちらも照明器具を取りつけるために使われるもので、JIS規格では「引っ掛けシーリングローゼット」とひとつの名称で定義されています。ただし、販売メーカーの大半は「引っ掛けシーリング」と「ローゼット」を別の商品として取り扱っています。

このふたつのおもな違いは「取りつけ方法」と「耐荷重」です。引っ掛けシーリングに照明器具を取りつける場合は、電源ソケットの穴に照明器具のアダプタについているツメを引っ掛けて、カチッと音がするまで回すだけで設置が完了します。

引っ掛けシーリングにアダプタを差し込んで回すときに、ふたつのツメがきちんとはまっているか確認してください。片方のツメがはまっていないと、照明器具が固定されず落下する恐れがあります。

ローゼットの外周にはネジ穴がついていて、これはハンガーと呼ばれるものです。ローゼットに照明器具を取りつけるときは、照明器具の本体をハンガーにネジで固定する作業が必要です。

ネジで照明器具を固定したら、シーリングのように電源ソケットの穴に照明器具のアダプタのツメを引っ掛けて、カチッと音がするまで回します。引っ掛けシーリングとローゼットの取りつけ方の違いは、設置できる照明の重さに影響します。

引っ掛けシーリングは照明器具の取りつけがかんたんにできますが、耐荷重は5kgまでです。引っ掛けシーリングに取りつけられる照明の種類は、ペンダントライトやシーリングライト、スポットライトなどです。

それに対して、ローゼットのハンガーに照明器具をネジで固定した場合は、10kgまでの重さに耐えられます。ローゼットはふたつのハンガーに照明器具を固定することで、強度を高くできるため、重量のある照明器具でも取りつけが可能です。 ローゼットにネジでしっかり固定すれば、シャンデリアやシーリングファンつきライトなど、重さのある照明器具も安定して取りつけできます。引っ掛けシーリングの耐荷重を考慮せずに重い照明器具を取りつけてしまうと、地震などで照明が落下する場合があるので、5kgから10kgまでの照明器具をつけたいときは、ローゼットを使用しましょう。

ダクトプラグとの違い

天井にそって設置され、複数のペンダントライトやスポットライトを設置できるレールのことを、配線ダクトレールといいます。このダクトレールに照明器具を取りつけるための接続部が、ダクトプラグです。 店舗やオフィスだけでなく、近年は一般住宅の内装にカフェ風のおしゃれな照明として、ダクトレールが採用されているケースも見られます。

天井にレールが設置されている場合

天井に直接設置されているダクトレールは、レール内に電源が引かれています。その場合は、ダクトプラグ対応の照明器具を選択する必要があります。

確認せずに引っ掛けシーリング対応の照明器具を購入してしまうと、そのままでは互換性がないため、照明器具を取りつけられません。そんなときは「レール用引っ掛けシーリングアダプタ」を購入しましょう。 レール用引っ掛けシーリングアダプタは、ダクトレールに引っ掛けシーリング対応の照明器具を取りつけるための変換プラグです。変換アダプタを使えば、工事不要で簡単に対応できます。

レールを引っ掛けシーリングにしたい場合

ダクトレールを引っ掛けシーリングに変更する作業は、電気工事士の資格が必要です。資格をもたない一般の人は電気工事をしてはいけないことになっているので、感電や漏電などのトラブルを避けるためにも、専門業者に依頼しましょう。

選び方と取り付け方法

引っ掛けシーリングにはいくつか種類があるので、あたらしく取りつけたい場合にどの種類を選べばよいか迷ってしまうこともあるでしょう。引っ掛けシーリングの種類を選ぶときの基準と、設置方法について解説します。

種類と重さで選ぶ

一般的な引っ掛けシーリングは、耐荷重が5kgまでなので「角型シーリング」「丸型シーリング」「丸型フル引っ掛けシーリング」を選んだ場合は、取りつけられる照明器具の重さが限定されます。

5kgより重い照明器具をつけたいなら、耐荷重が10kgまである「フル引っ掛けローゼット」や「埋め込みローゼット」を選びましょう。ローゼットで耐荷重10kgを実現するには、ネジでしっかり固定することが条件です。

また、照明器具のタイプによっても、シーリングの耐荷重が変わってくるため、注意してください。

照明器具には「吊り下げ式」と「直づけ式」があります。吊り下げ式の照明器具をシーリングに取り付けた場合、耐荷重は3kgまでとしているメーカーが多いです。補強コードを使用すれば5kgまで、ハンガーで照明器具を固定した場合は10kgまでと決められているのが一般的です。

直づけ式の照明器具は、基本の耐荷重が5kgまでとなっている製品が多いです。ハンガーで照明器具を固定すれば、10kgまでの耐荷重が得られます。 メーカーや製品によって設定されている耐荷重は異なるため、取扱説明書などをよくチェックしてください。

取り付け方と注意点

引っ掛けシーリングを天井に取りつける際は、配線を接続する必要があるため、DIYではなく電気工事士の資格者がいる業者に作業を依頼しましょう。引っ掛けシーリングを取りつける前に、ブレーカーを落として、いまついている照明器具を取りはずします。

天井の穴から電線が垂れているので、電線の被覆をニッパーなどの工具を使ってむきます。どのくらい被覆をむけばよいかは、シーリングの電源ソケット側にある目安の線を参考にしてください。 つぎに、電線のむいた部分を、引っ掛けシーリングに差し込みます。引っ掛けシーリングを天井に固定して、照明器具を取り付けたら完成です。

こちらの記事では、電気がつかない原因について解説しています。修理するべきケースや停電への備えも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

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まとめ

引っ掛けシーリングやローゼットは、取りつけられる照明器具の種類や、取りつけ方法が異なります。取りつけたい照明器具に対応したシーリングを選んで、安全に設置しましょう。

引っ掛けシーリングは、家電量販店やホームセンターのほか、オンラインショップでも購入できます。

電材ネットでは、クレジットカードや代金引換、銀行振込、携帯キャリア決済などから、お好きな支払い方法をお選びいただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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