プルボックスとは、配線の分岐・接続にもちいられる箱です。天井裏などの見えない部分に設置されていますが、配線を保護する重要な役割をもっています。 この記事では、プルボックスの特徴や材質別の性能、設置方法について解説しています。

プルボックスとは?

配線工事にかかわる人にとってはなじみのある言葉ですが、プルボックスとは、電気工事でケーブルを接続・分岐するときに使われる箱です。屋内配線は、ケーブルや電線を配管内にとおして設置するよう定められています。

そのため、ケーブルを分岐させる場合やほかのケーブルと接続する場合は、プルボックスを利用して配管内部で接続・分岐させます。プルボックスがよく使用される代表的な箇所は、建物の天井裏や、各階をまたぐ箇所などです。 また、ビルの竪穴配線・横穴配線が交わる箇所にも、プルボックスが用いられることが多いです。コンセントやスイッチを接続するときに使われることもあります。

プルボックスとアウトレットボックスの違い

配線工事に使用されるボックスにはいくつか種類があり、なかでもプルボックスとアウトレットボックスは、どちらもボックス内で配線の分岐・接続をおこなうという点で共通しています。素材も金属製・樹脂製であることは同じですが、サイズや用途に違いがあります。

サイズの違い

サイズの面で、アウトレットボックスはプルボックスとは大きく違っています。まず、アウトレットボックスのサイズについてですが、こちらは一般的に102mm×102mmと、119mm×119mmの2種類しかありません。

サイズが小さいため、アウトレットボックスに収容できるケーブルの太さや本数は限られています。一方で、プルボックスはサイズの規定がなく、400mm×400mmや150mm×150mmなど、バリエーションが豊富です。

アウトレットボックスでは小さすぎて対応できない場面では、大きさの選択範囲が広いプルボックスを使用して配線工事をおこないます。たとえば、高圧のケーブルを接続・分岐させるには広いスペースが必要なので、大きめのプルボックスがもちいられます。 電線敷設が困難な場所では、プルボックスを連続して接続するのが一般的です。

使用用途の違い

アウトレットボックスとプルボックスは、用途の面でも違いがあります。アウトレットボックスが配管と配管の間に設置されるのに対して、プルボックスはケーブルのジョイント部分を複数本まとめておさめる目的で使用されます。

アウトレットボックスはサイズが小さいため、多くの配管を接続できませんが、大きい規格の製品を選べるプルボックスは、多数の配管を接続するのに向いています。ただし、プルボックスにはもともと穴があいていません。 そのため、設置前にボックスに穴をあける作業が必要です。金属製のプルボックスは強度が高いので、穴あけ作業に手間がかかるでしょう。それに対して、アウトレットボックスはハンマーなどで簡単に穴があけられるように加工されています。

プルボックスの材質と種類

プルボックスには金属製・樹脂製・メッキ製があり、設置場所などによってどのタイプを使うか選択します。屋内に使用するプルボックスは種類を問いませんが、屋外には雨風にあたっても腐食しないように樹脂製のプルボックスを使用するのが主流です。

鋼板製

金属製のプルボックスには、鋼板製とステンレス製の2タイプがあります。サビ止めがほどこされている鋼板製は、屋内で使用するプルボックスとしてメジャーです。

蓋は平蓋とカブセ蓋があり、平フタが屋内で使用されるのに対して、カブセ蓋はおもに屋外で使われます。鋼板製プルボックスはサビ止め仕様にはなっていますが、屋外では雨風にさらされるため、塗装をほどこしてサビを防ぐ必要があるでしょう。 民間仕様と国土交通省仕様があり、市町村の公官庁には、表面処理鋼板を使った国土交通省仕様のプルボックスが使用されることになっています。

ステンレス製

ステンレス製のプルボックスは雨や風に強く、屋外でも使用されることの多いタイプです。屋内で使用されるのは、薬品を扱う工場などの特殊な環境下で、鋼板製だと腐食してしまうケースなどです。 塩酸や硫酸に弱い性質をもっているので、有毒ガスが発生する場所では使用できません。価格は鋼板製プルボックスよりも高額になります。平蓋・カブセ蓋がある点や、民間仕様・国土交通省仕様がある点は、鋼板製と同じです。

樹脂製

樹脂製のプルボックスは、塩化ビニール製とFRP製の2つに分かれます。樹脂のため加工は容易ですが、金属製に比べて強度は低いです。平蓋は屋内に、カブセ蓋は屋外というように使い分けられます。

FRP樹脂製のプルボックスは、CFRP成形用炭素繊維強化プラスチックを素材としたボックスです。ガラス繊維や炭素繊維をプラスチックに入れることで、強度を上げています。 塩化ビニール製に比べて強度があるので、屋外の設置に向いていますが、価格は塩化ビニール製よりも高くなります。

メッキ製

メッキ製のプルボックスには、溶融亜鉛メッキ仕上げと、高耐腐食性メッキ鋼板製があります。溶融亜鉛メッキ仕上げプルボックスは、耐候性に優れているため、屋外の使用に適しています。 民間仕様と国土交通省仕様があり、価格はステンレス製よりも安価です。高耐食性メッキ鋼板製もおもに屋外で使用されますが、溶融亜鉛メッキ仕上げに比べて軽量で、こちらもステンレス製より低価格になります。

プルボックスの種類

プルボックスはサイズが豊富なことに加えて、ケーブルの出口がいくつあるかによって「一方出」「二方出」「三方出」「四方出」の4種類があります。1本のケーブルを3方向に分岐させたいケースでは、4つの出入り口が必要になるため、四方出のプルボックスを選択します。

プルボックスの設置方法

プルボックスを設置する前に、墨だしをおこなって、プルボックスをとりつける位置を決めましょう。設置する位置に印をつけたら、プルボックスを固定するためのアンカーを打ちます。

つぎに、アンカーを使ってプルボックスのとりつけをしましょう。ボルトにナットとワッシャーをつけて締めると、プルボックスをしっかり固定できます。つづいて、配管の接続作業に入ります。

最後に分岐部分のジョイントをおこなって、設置が完了します。屋外にプルボックスを設置する際の注意点は、耐久性を考慮して材質を選ぶことです。 屋外では天候の影響でプルボックスが腐食する可能性があるため、腐食に強い樹脂製のプルボックスや、防サビ塗料がほどこされた金属製のプルボックスを使用する必要があります。

こちらの記事では、アウトレットボックスについて詳しく解説しています。基本知識と種類や設置方法のポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

アウトレットボックスとは?基本知識と種類・設置方法のポイント

アウトレットボックスとは、電気配線の分岐や接続に使用されるボックスです。この記事では、アウトレットボックスの特徴や、電気工事に使われるほかのボックスの種類、設置方法について解説します。

まとめ

プルボックスとは配線を分岐・接続するための箱で、サイズの種類が小さいものから大きいものまで幅広く、さまざまな用途で使用できます。プルボックスについての正しい知識を身につけて、配線工事に活用しましょう。

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