壁などに設置されているスイッチやコンセントには、配線のためのアウトレットボックスが壁内に埋め込まれています。この記事では、配線工事におけるアウトレットボックスとはどのようなものか解説します。また、電気工事に使われるボックスの種類、アウトレットボックスの設置手順について紹介します。

アウトレットボックスとは?

電気工事で電線やケーブルの配線をおこなうときに、配線の分岐・接続にもちいられるのがアウトレットボックスです。身近な例では、照明器具のとりつけや電話配線の取り出し、コンセント・スイッチのとりつけなどにアウトレットボックスが使用されています。

おもに16〜28mmの小径の電線管を接続するのに使われますが、太径の幹線などは収容できません。電気設備の工事によく使用される材料で、一般家庭やオフィスの電気配線に接続ポイントとしてもちいられています。

電化製品を使うときはプラグをコンセントに差し込みますが、壁に埋め込まれている差し込み口のうしろに設置されているのがアウトレットボックスです。アウトレットボックスの素材は、樹脂製または鉄製が主流です。

使われることが多いのは樹脂製ですが、防火区画では鉄製を使用する必要があります。

アウトレットボックスの種類とサイズ

アウトレットボックスのほかにも、配線工事によく使われる「プルボックス」「スイッチボックス」「コンクリートボックス」という材料があります。それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。

アウトレットボックスとプルボックスの違い

プルボックスは、長い電気配線や複雑な配線経路で、配線の引き回しや作業のために仕様されるボックスです。同様に、素材が金属製・樹脂製があります。アウトレットボックスと共通しています。

プルボックスとアウトレットボックスの大きな違いは、サイズのラインナップです。アウトレットボックスは、おもに壁に埋め込まれ、電化製品を電源に接続する役割を担っていて、サイズは小さめで2種類しかありません。

それに対して、プルボックスは規模が大きい配線にも使用されるため、サイズの種類が豊富で大型のタイプだと1mほどの立方体の形をした製品もあります。幹線や多数の電線管をまとめるのに向いており、電線敷設が難しい場所では、プルボックスを連続して設置します。 壁に埋め込まれるアウトレットボックスとは違い、プルボックスは露出工事にも使われる素材です。

アウトレットボックスとスイッチボックスの違い

スイッチボックスは主にスイッチを取りつけるためのボックスです。アウトレットボックスは、主にコンセントを設置するためのボックスです。スイッチボックスには連用枠のとりつけが可能で、そのためのネジ止めができるような突起があります。 素材は金属タイプと樹脂タイプがあり、露出工事にも埋め込み工事にも対応しています。

アウトレットボックスとコンクリートボックスの違い

コンクリートボックスも、配線を分岐・接続する目的で使われますが、コンクリートに直接打ち込む必要がある場面で使用されます。固定用の爪があって、この爪を型枠に固定してから、コンクリートを流し込むことで一体化させるという使い方です。

底板が取り外せる構造になっていて、形状は四角だけでなく八角などもあります。樹脂製と金属製がありますが、コンクリートの床や壁、天井に埋め込まれることを前提としているため、金属製はとくに頑丈につくられているのが特徴です。 自動火災報知設備の感知器や照明器具、放送用スピーカーなどをとりつける際に、電気を安全に使えるように設置されます。

アウトレットボックスのサイズ

アウトレットボックスのサイズは小さめで、規格は102mm×102mmと119mm×119mmの2種類です。浅型・深型と表現されることもありますが、浅型は配線する電線が少ないときに使われ、コンパクトにおさまります。一方、配線の量が多い場合や、配線が太い場合は、深型を選択するのが一般的です。アウトレットボックスにおさまらない規模の配線には、プルボックスが使用されます。

安全なアウトレットボックスの設置方法

アウトレットボックスを壁裏に仕込む作業を「建て込み」といいます。ボックス類はあとづけができるため、建て込みをしなくても工事は可能ですが、仕上がりの品質を考慮すると建て込みしたほうが大きなメリットを得られるでしょう。その理由のひとつは、ボックスをあとづけすると、大きな負荷がかかったときに重みで壁が破損することがあるからです。また、建て込みをすると、ボックスでケーブルをしっかり固定して保護できます。

設置手順

ボックスの建て込みは、作業のタイミングが重要です。ボックスを設置するには、それを支える土台が必要なため、LGS(軽量鉄骨)が組まれたあとに作業をはじめましょう。ただし、壁にボードが貼られたあとではボックスの建て込みができないため、ボードが貼られる前にボックスをとりつけてください。

地墨の確認

設計図面をもとに前工程で地墨出しの作業がおこなわれているため、プロット図と地面に書かれた印を照らし合わせながら、ボックスのとりつけ位置を確認しましょう。墨の高さで、LGSのスタッドに油性ペンなどで印をつけ、アウトレットボックスのとりつけ位置を明確にします。

ボックスの固定

ボックスの支持は「スタッドからボックスが近い場合」「スタッドからボックスが遠い場合」で施工方法が違います。スタッドからボックスが近いパターンは、スライド式でボックスを移動できる金物を使えるため、位置決めが比較的簡単です。スタッドとボックスが離れている場合は、スライド式が使用できないので、全ネジボルトを使用してボックスを固定します。

配管の立ち上げ

ボックスを固定したら、配線のケーブルをとおすためのPF管を立ち上げましょう。配管を天井裏に出すために、まずは工具を使ってLGSランナーに穴をあけます。穴があいたら、そこからPF管をとおして天井に30cmほど出しておきましょう。

つぎに、アウトレットボックスまでの長さを計算して、PF管をカットします。アウトレットボックスにPF管用の穴をあけて、コネクターでPF管を接続します。LGS振れ止め材があってPF管がおさまらない場合は、振れ止めを切りかきましょう。つづいて、PF管をインシュロックなどで縛ります。

塗り代カバーのとりつけ

アウトレットボックスには、コンセントやスイッチをとりつけるのに必要なネジ穴が存在しません。そのため、塗り台カバーというものをとりつける必要があります。 塗り代カバーには、コンセントをとめるためのビス穴がついています。カバーにはうらおもてがあり、どちらも使えますが、厚さが違うので間違えないように気をつけてください。

注意点

金属製のアウトレットボックスは、漏電のリスクがあるため、設置の際とくに注意が必要です。樹脂製のアウトレットボックスと違い、金属製は電線の外部が傷つくと電気がボックスに流れ、まわりの配管など広い範囲に電気が漏れてしまう可能性があります。感電を起こさないように、金属製のアウトレットボックスをとりつける場合は、アースを確保しましょう。

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まとめ

アウトレットボックスの種類は多くありませんが、設置の際は配管のサイズとの相性が大切です。配線工事に使われるボックスは、アウトレットボックス以外にもプルボックス、スイッチボックス、コンクリートボックスなどがあるので、それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。

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