冷暖房機器をメンテナンスする際、性能低下の原因がエアコンの配管にあるケースも考えられます。そのため、エアコンの配管を丁寧に調べる必要が出てくることもあるでしょう。 この記事では、エアコンの配管に関する基本的な知識に加えて、配管工事が必要になるタイミングや配管を再利用するリスクなどを解説します。エアコンの配管の寿命や注意点も解説しますので、エアコンの配管を調べる際に何を意識すべきか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
エアコンの配管とは?
エアコンの配管とは、エアコンの室内機と室外機を接続するために使用される銅製の管のことです。配管は冷媒ガスを循環させるために欠かせないもので、エアコンの設置時には必須の設備です。配管の配置や経路によって、エアコンの使い勝手が左右されることもあります。そのため、配管工事がきちんと行われないと、冷暖房の効きが悪くなる可能性も考えられます。したがって、専門的な知識と技術を持った作業が不可欠です。
エアコンの配管の種類
エアコンには、室内機と室外機をつなぐための配管が2種類あります。ひとつは冷媒管と呼ばれる配管で、室内の熱を外部へ排出するのが役割です。
もうひとつは、ドレン管と呼ばれる配管で、室内機中にたまった水分を排出する役目を担っています。エアコンの配管は通常、大小の銅管を2本1組で構成されます。
配管の直径はさまざまで、たとえば「2分」と呼ばれる6.35mm「3分」と呼ばれる9.52mm「4分」と呼ばれる12.70mmなどがあります。エアコンの能力や容量に応じて、適切な組み合わせが必要です。
家庭で使用されることが多いエアコンでは、2分3分と2分4分の組み合わせが一般的です。6.3kw以上の電力量を持つエアコンの場合、2分4分の組み合わせが広く使われます。一方、業務用エアコンにはさらにさまざまな配管の種類があります。 適切な配管を選ぶことで、エアコンの性能を最大限に引き出すことが可能です。
エアコンの配管工事が必要なタイミングは?
エアコンの配管工事が必要になるタイミングは、以下のとおりです。
- エアコンを新設する
- エアコンを移設する
- エアコンの買い換えをする
- エアコンの配管が破損した
それぞれのタイミングにおいて、なぜエアコンの配管工事が必要なのかを解説します。
エアコンを新設するとき
エアコンを新しく設置するときは、まず住宅の壁にエアコンの配管のために設けられた穴があるかを確認することが重要です。以前エアコンが設置されていなかった場所に取り付ける際は、取り付け工事に加えて、壁に配管用の穴を開ける工事も実施しなければなりません。
また、エアコンを使うために必要なコンセントがない場合は、コンセントの増設工事も必要です。 このような工事が行うことで、エアコンを効率的に使えるようになります。適切な準備を行うことで、エアコンの設置がスムーズに進み、快適な室内環境を実現できるでしょう。
エアコンを移設するとき
引っ越しをせず、暮らしている住宅内でエアコンを移設する際も配管工事が必要です。たとえば、1階から2階にエアコンを移動する場合は、エアコンの配管の長さを調整する必要があります。
また、庭に設置していた室外機を2階の配管穴に接続する場合、配管の高さが不足するかもしれません。仮に室外機を2階のベランダに設置した場合でも、既存の配管と2階のベランダから配管穴までに必要な長さが一致するとは限りません。 そのため、移設時には配管の長さを正確に測り、新たに適切な長さの配管を準備することが重要です。
エアコンを買い換えたとき
エアコンを新しいものに買い替える際には、配管も一緒に交換するケースがほとんどです。ただし、隠蔽配管などで工事が困難な場合は、これまで使用していた配管をそのまま利用することもあります。 既存の配管を使う場合は、取り付け工事の際に配管が使用可能かどうかを確認しましょう。配管がひび割れていたり、不具合があったりしたまま新しいエアコンに接続すると、ガス漏れが発生してしまい、うまく機能しないおそれがあります。
エアコンの配管が破損したとき
エアコンの配管が破損すると、エアコンの効きが悪くなることがあるため、交換したほうが無難です。そのため、エアコンの冷暖房の効きが悪くなったと感じた際は、まずエアコンの本体や冷媒ガスに問題がないかを確認しましょう。 エアコン本体や冷媒ガスに問題がない場合は、配管に原因があるかもしれません。その際は、専門の業者に連絡を取り、配管の状態を調べてしてもらうことをおすすめします。
エアコンの配管の寿命について
エアコンの配管の寿命は、一般的に30年程度です。しかし、配管の寿命はエアコンの使用頻度や設置場所によって異なります。30年経過しても問題なく使える場合もあれば、15年で交換が必要になることもあります。
正確な寿命を知りたい場合は、専門の業者に依頼し、確認してもらいましょう。
隠蔽配管を採用している場合、配管を新しくするのが困難なため、既存の配管を洗って繰り返し使用するのが一般的です。ただし、配管の再利用は3~4回までが適切とされているため、再利用する回数が4回を超える場合は、配管の交換を検討しましょう。 交換すべきかどうかの判断は専門知識が必要なため、専門の業者に確認してもらうことをおすすめします。
エアコンの配管を再利用するリスクとは?
エアコンの配管を再利用するリスクは、以下の2つです。
- 冷媒ガスの漏れ
- 性能低下
隠蔽配管など、簡単にエアコンの配管を交換できない場合もありますが、再利用によって上記のリスクがあることは事前に理解しておきましょう。
冷媒ガスの漏れ
配管を再利用する際のリスクのひとつは、配管の老朽化などによる破損で冷媒ガスが漏れることです。配管は冷媒ガスを送るために断熱材で覆われた銅管で構成されており、エアコンを使用すると内部に水がたまります。水を外部に排出するためにドレン管が使用されます。
銅管もドレン管も使うたびに経年劣化するため、次第に性能が低下します。痙攣劣化を気にせず使用を続けていると、配管が破損するかもしれません。
銅管が破損すると冷媒ガスの漏れが発生し、ドレン管が破損すると水漏れの原因となります。注意すべきは銅管の破損に冷媒ガスの漏れです。冷媒ガスは、人体に有害なだけでなく、環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。 そのため、配管の状態を定期的に確認し、劣化が進んでいる場合は速やかに交換することが重要です。
エアコン配管の注意点は?
エアコンの配管を考える際、注意すべきなのは「配管の長さ」と「室内機と室外機の高低差」です。いずれもエアコンの性能に影響を与える重要な要素になるため、きちんと理解しましょう。
ここからは、それぞれの注意点について解説します。
配管の長さ
エアコンの配管の長さは、室内機と室外機の距離によって決定されます。たとえば、室内機と室外機が同じ階に直線で設置される際は、配管の長さは3〜4mほど求められるのが一般的です。 しかし、設置場所によっては配管を曲げる必要があり、その場合はさらに長さが必要になります。設置場所ごとの一般的な配管の長さの目安は、以下のとおりです。
室内機と室外機が1階にある場合 | 3〜4m |
室内機が2階、室外機が1階にある場合 | 6〜8m |
室内機が3階、室外機が1階にある場合 | 9〜11m |
エアコンはメーカーや機種ごとに使用可能な配管の長さが定められており、取り付け工事の際、定められた条件を満たせない場合もあるため、注意しましょう。加えて、配管は長くなるとエアコンの性能が悪くなりやすいため、適切な設置場所を選ぶことが重要です。 どこに設置するべきか判断に迷う場合は、エアコンの取り付け業者に相談することをおすすめします。
室内機と室外機の高低差
エアコンの効きをよくするには、室内機と室外機の高低差を考慮することが重要です。エアコンは、暖かい空気は上部に、冷たい空気は下部に行くという空気の性質を利用するため、高低差が適切であれば、エアコンの性能を最大限に発揮できます。
しかし、メーカーや機種ごとに推奨される高低差の範囲は決められているため、条件を満たせない場合は、エアコンの取り付けが困難になるかもしれません。そのため、エアコンの取り付け位置は、購入前にきちんと確認しましょう。エアコンの取り付け・配線工事の際には、漏電に注意が必要です。
まとめ
エアコンの配管は、室内機と室外機をつなぐために不可欠な銅製の管で、冷媒ガスの循環に重要な役割を果たします。エアコンの設置時や移設時、買い替え時には、適切な配管工事が必要です。
エアコンの配管の寿命は一般的に30年ですが、使用頻度や環境によって異なります。再利用には冷媒ガスの漏れや性能低下のリスクが伴うため、定期的な点検と適切な対応が欠かせません。配管の長さや高低差も重要な要素となるため、複数の要素を考慮し、エアコンを効率的に運用しましょう。
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