分電盤と配電盤は電気を安心・安全に利用するうえで欠かせない専門的な電気設備ですが、どのような違いがあるのでしょうか?分電盤は文字のとおり、電気を分ける役割があり、配電盤は電気を受けて利用できる大きさに電圧を変える役割を持っています。 分電盤は家庭で見られますが、配電盤は一定の施設でのみ設置されるものです。今回は、分電盤と配電盤の違いについてや交換時期の目安、選び方のコツについて解説いたします。

分電盤と配電盤の違い

分電盤は一般家庭に設置されるものであり、配電盤は学校やビル、工場など一定以上の規模の施設に設置されるといった違いがあります。また、それ以外に目的や構造にも違いがあります。ここからは目的や構造、ブレーカーとの違いについて解説します。

目的の違い

まず、目的の違いについて解説します。配電盤は変電所から送られてきた電気を受けて、各電気機器に適した大きさの電圧に変えて電気を送ることを目的としています。

また、送られてきた高圧電力を一時的に保管することも目的の1つです。そのままでは使用できない電圧の大きい電気を使用可能な大きさに変える重要な役目があります。

配電盤が設置されているのは電力会社と高圧受電契約をしている学校やビル、工場などです。一般家庭の場合は、多くが~50kwなどの低圧受電契約であるため、配電盤を設置する必要がないことから各家庭で見られることはほとんどありません。

次に、分電盤についてです。分電盤は配電盤から送られてきた電力を各電気機器にわけて送るといった目的があります。

分電盤はビルや公共施設のEPS(電気関係の配線を通すための空間)に設置されたり、一般家庭では玄関や洗面所などで設置されたりします。 どちらも「電盤」とつくことから同じような役割があると思えますが、配電盤は電気を受けて電圧を変えることが目的です。そして分電盤は電気を分ける目的で設置されているのです。

構造の違い

変圧器や電流計、遮断機、開閉器など、電気の切替を安全に行うために必要な機器が備わっているのが配電盤です。配電盤は金属箱の中に必要な機器が入っているキュービクル式と鉄製の棒に配電機器を取り付けるタイプのオープンフレーム式の2種類があります。

オープンフレーム式とキュービクル式にはそれぞれメリット・デメリットがあり、設置場所や管理方法などによって適したものを選択し、設置する必要があります。

一方、分電盤は各部屋に安全に電気をおくるために必要なアンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーがおさめられた箱のことです。電気を受けて電圧を変え電気を送る配電盤とは違い、安全に各部屋や電気機器に電気を送る仕組みが備わっています。 各部屋へ安全に電気を送るためには、この3つのブレーカーを通す必要があるのです。分電盤は露出型、兼用型、半埋め込み式型など複数の種類があり、場所やコスト、分電盤の中身によって種類を選択します。

ブレーカーとの違い

配電盤は、電圧の大きい電気を各電気機器に使用できる電圧に変えて、分電盤に電気を送る装置です。

また、分電盤は各部屋や電気機器に安全に電気を振り分ける目的を持った機器であり、電気の使いすぎや漏電防止などの機能を持ったブレーカーを収納している箱のことを指します。一方、ブレーカーは規定以上の電気が流れた場合や漏電などの危険がある場合などに、電気を落とす機械です。

そのため、電気を受けて電圧を変える配電盤と配電盤から受けた電気を、各部屋や電気機器にわける分電盤とは機能が異なります。分電盤の中に収納されているブレーカーは、主にアンペアブレーカー、漏電遮断器、配線用遮断器の3つです。 アンペアブレーカーの設置は各電力会社により異なるため、ない場合もあります。各ブレーカーには以下のような役割があります。

  • アンペアブレーカー:契約しているアンペア数を越えると電気の供給を遮断する
  • 漏電遮断器:建物内の配線や電気機器の漏電を察知し、防ぐ
  • 配線用遮断器:回路ごとの電気を管理する

この3つのブレーカーを電気が順番に通り、各電気機器や部屋に電気が送られる仕組みとなっています。

分電盤と配電盤の交換が必要な目安

ここからは分電盤と配電盤の交換目安、使用できる年数について解説します。

分電盤の交換目安

分電盤の交換目安は、一般的には20~30年といわれています。しかし、湿度の高い場所などでは劣化がみられやすく、寿命が短くなる場合もあります。そのため、定期点検を行い、異常をすぐに発見できるようにすることが大事です。定期点検については次の章で詳しく解説します。分電盤の交換時期については、以下のような症状が見られる場合に買い換えるのがおすすめです。

  • 変な音がする
  • 破損が見られる
  • 焦げたあとが見られる
  • 分電盤が熱くなっている
  • テレビの画像がよく乱れる
  • 覚えがないのに電気代が高い

また、分電盤は13年以上経過している場合は交換時期といえますので、異常の有無にかかわらず、交換することをおすすめします。分電盤の機能は年々性能が上がっているため、新しい分電盤に比べて古い分電盤は、感電事故や火災の危険性が増える場合もあるためです。

寿命はあくまでも目安と考え、定期点検を行い、異常がみられれば寿命年数ではなくても変えることが必要といえます。配電盤の交換費用の相場は、20,000〜40,000円ほどですが種類によって費用は異なります。

個人で購入する場合は、事前に業者に種類や大きさの確認をしてもらってから購入することが大切です。 新しい分電盤に変更することで、交換コストがかかりますが、その分より効率よくエネルギーを消費できる機能やより高い安全機能が備わっているといったメリットもあります。家族が安心・快適に暮らすために必要な経費と考えましょう。

配電盤の交換目安

配電盤の交換目安は、設置してから15年です。また、配電盤の交換時期を見極める方法は2通りあります。

  1. 異常な音や症状で判断する
  2. 配電盤の製造年月日と使用年数で判断する

まず、異常な音や症状で判断する場合については、頻繁なブレーカーの落ちや異常な臭い、接続部の緩み、腐食部分などを確認し、判断します。また、電圧や電流が規定値どおりかも確認するといいでしょう。

次に、配電盤の製造年月日と使用年数で判断する方法についてです。配電盤の交換時期の目安は設置してから15年といわれています。寿命自体は15年~20年といわれていますが、安全で支障のない使用を目指すなら、15年を目安に交換計画を立てておくのがおすすめです。定期点検により、使用できる状態を維持できていたとしても、設置年数によっては交換することが推奨されています。

分電盤と配電盤のメンテナンス方法

ここからは分電盤と配電盤のメンテナンス方法について解説します。

分電盤のメンテナンス

分電盤のメンテナンスは基本的に自分で行わず、専門の電気技師に依頼します。しかし、以下の点を確認し、自分で点検を行う方法もあります。

  • 異常音はないか
  • 焦げ臭さはないか
  • 分電盤本体が発熱していないか
  • 機器内にゴミが溜まっていないか
  • 正常にブレーカーが作動しているか

ブレーカーを一度オフにして再びオンにするといった方法でも動作確認ができますが、行う際は電気機器が一度停止になるため、注意が必要です。

業者に依頼する場合、分電盤の寿命や漏電の危険性などの確認もしてもらえることから、分電盤の定期点検をもれなく行えるといった安心感があります。また、分電盤の定期的な点検は、異常や故障にすぐ気付き、修理や交換にかかるコストを最小限にできるといったメリットもあります。そのため、定期点検は安全・快適に電気を使用するためにかかせないものといえるでしょう。

配電盤のメンテナンス

配電盤のメンテナンスは、高い技術と専門知識を身に付けた電気技術者に依頼することをおすすめします。配電盤のメンテナンスには、より専門的な知識と技術が必要とされるからです。

業者に依頼した場合、部品の交換や清掃、劣化診断、清掃、性能評価など配電盤が正常に作動するために必要な点検を一括して行ってくれます。また、メンテナンス時期の管理に時間を割く必要もないため、管理側の負担も減るでしょう。 より安全・快適に電気を使用するためにも、配電盤の定期点検はしっかり行うことが大切です。

分電盤と配電盤の選び方

ここからは分電盤と配電盤の選び方について解説します。

分電盤を選ぶコツ

まず、分電盤を選ぶコツについて解説します。分電盤を選ぶときは以下のポイントに気を付けて選ぶことをおすすめします。

  • 搭載機能
  • HEMS対応かどうか
  • 電力需要と分岐回路数

まず、搭載機能についてです。分電盤は種類により備わっている機能が異なるため、安全面を重視するなら漏電遮断機能などが搭載されている機種を選ぶといいでしょう。次にHEMS対応の有無についてです。

HEMSはHome Energy Management Systemの略で、電気機器の使用量や稼働状況が画面上で確認できるようになっています。

HEMS対応機種であれば電気料を意識した使用ができ、電気の無駄使いを減らすことが可能になるため、電気を効率よく使用したい方におすすめです。

そして、分電盤を選ぶときは住宅でどれほどの電力が必要なのかといった電力需要を考えることと、分岐回路数を把握することが大事です。

電力需要を計算する方法としては、もっとも電力を使用する時間帯を考えて計算する方法と、過去に使用した電力のデータや今後増える電力を考慮して計算する方法があります。また、分岐回数路とは分電盤から分岐する電気回路のことです。分岐回路数は一般回路数(照明回路+コンセント回路)+専用回路数(家電製品の容量が1KW以上のものや200V以上の機器のもの)+αで求められます 。

配電盤を選ぶコツ

次に配電盤を選ぶコツについてです。配電盤を選ぶには、使用電力の大きさにあわせて選ぶ方法があります。配電盤には、工場やビルなどの一定規模の施設で使用される高圧電力に対応したものと、小型で複数の機能が備わったものがあります。

そのため、使用電力が大きい場合には高圧電力に対応した配電盤を、そうでない場合は小型の配電盤を選びましょう。また、安全性やメンテナンスにかかる手間によって選択する方法もあります。

キュービクル式は、金属の箱の中に変圧や送電の機器が入っているのに対し、オープンフレーム式は、鉄製の棒に機器が取り付けられているため、機器が丸出しになっています。そのため、安全性を重視した場合はキュービクル式が適しているといえるでしょう。オープンフレーム式の方は機器が露出しているため、目視で点検やメンテナンスができ、メンテナンスの手間がかかりません。一方、キュービクル式は開閉による確認が必要となります。

購入するときの注意点

配電盤・分電盤の購入自体は、オンラインショップなどにより自分で購入できます。業者を通して購入するよりも手数料分の費用が抑えられる点は大きなメリットといえるでしょう。ただ、購入するときは以下の点に注意する必要があります。

  • 設置は自分で行えない
  • 購入するときは事前に種類や大きさの確認が必須

まず、配電盤や分電盤の設置は自分で行えません。そのため、電気工事士の資格を持つ専門業者に依頼することが必要です。無資格の者が行った場合は、法律・安全基準に違反してしまいます。 

また、自分で購入するときは、事前に購入する分電盤の種類や大きさを業者に確認しておく必要があります。取り付ける場所によっては購入する分電盤では取り付けられなかったり、必要な機能が備わっていなかったりするためです。 この事前確認を省いてしまうと、あとで返品作業におわれたり、最悪返品できず余計な出費がかさんでしまうことになるため、確認を怠らないようにしましょう。

分電盤とは?配電盤・ブレーカーなどとの違いや交換について解説

分電盤とは、配電盤から送電されたエネルギーをコンセントや照明などへ分配する装置を指します。ブレーカーとの違いや分電盤の種類、また交換する場合の適切なタイミングや費用の目安もまとめて取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。

まとめ

分電盤と配電盤は、目的や構造に大きな違いがあります。分電盤は一般家庭で見られることも多いですが、配電盤は主にビルや工場、学校など高圧受電契約をしている一定以上の規模の施設に設置されます。

また、分電盤は業者を通さず、個人で購入することで業者へ支払う手数料が発生しないため、より安く購入できます。

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