いつも見ているお気に入りのドラマが今日放送されるのに、肝心の画面が乱れたり、真っ黒な画面が続いたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
実は、こうしたトラブルの多くは、簡単なチェックや調整で解決できるケースが多いのです。「テレビが壊れた?」と焦る前に、まずは落ち着いて対処してみましょう。この記事では、テレビの電波が悪くなる主な原因と、それぞれの原因に応じた具体的な対処法をわかりやすく解説します。アンテナや配線、接続機器の見直しを中心に、自分で交換できるパーツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
テレビの電波が悪いとき最初にやること
多くの問題は簡単な手順で解決できます。まずは、基本的な確認を行ってみましょう。
テレビの再起動
テレビが映らないとき、まず試してほしいのが「再起動」です。意外かもしれませんが、テレビの再起動は、最も簡単かつ効果的な対処法のひとつです。
やり方は簡単で、テレビの電源を一度切り、コンセントを抜いて1~2分 ほど待ちます。その後、コンセントを差し直して電源を入れるだけです。 一部の機種では電源ボタンを長押ししてリセットする方法もあるため、取扱説明書やメーカーサイトを参考に適切な方法で行いましょう
電源プラグの確認
テレビ本体のコンセントがしっかり差し込まれているかを確認します。 もし、コンセントが緩み、抜けかかっている場合、電源の供給が不安定になり、映像に影響が出ることがあります。こうした場合は、電源を一度オフにし、コンセントを抜いてから挿し直して電源を入れてみてください。
テレビの設定確認
テレビ本体の設定を見直すことも大切です。 たとえば、テレビの入力切替が間違っていれば、外部機器と接続されていても、映像が映らないことがあります。リモコンで入力切替を確認し、正しいソースに切り替えてみましょう。
アンテナケーブルの確認
壁のアンテナ端子からテレビやレコーダーへつながるケーブルが緩んでいたり、抜けていたりすると、信号が正しく伝わらず、映像に乱れや途切れが生じてしまいます。 まずは、以下のポイントをしっかり確認することが重要です。
- ケーブルが端子に奥まで確実に差し込まれているか
- アンテナプラグの先端が曲がり、破損していないか
- ケーブルが損傷していないか
- 正しい端子に接続されているか
確認したうえで、必要があれば一度ケーブルを抜き、しっかりと奥まで差し直してください。
B-CASカードの抜き差し
テレビ映りが悪い場合、B-CASカードの抜き差しが解決策になることがあります。B-CASカードは、テレビに付属しているICチップ入りのカードで、地上デジタル放送や有料放送の視聴管理を行っています。そのため、接触不良や挿入ミスがあると、テレビが映らなくなってしまうのです。
まず、テレビの電源を切り、B-CASカードを丁寧に抜き取ります。次に、カード表面をやわらかい布で軽く拭き、再度正しい向きでしっかり差し込みましょう。これだけで映像が復活したり、ノイズが解消されたりすることがあります。ただし、BS4K搭載モデルにはB-CASカードは搭載されておらず、ACASチップが内蔵されています。
チャンネル再設定
地域ごとに使用される周波数は異なります。
たとえば、引っ越しをした場合、同じ「1」チャンネルでも、以前の家で受信していた周波数と、新居では異なる周波数の電波を受け取っていることがあります。しかし、以前の設定のままだと、テレビは新しい電波を受信できません。 問題を解決するために試したいのが、チャンネルの再設定です。テレビには、地域に適した放送チャンネルを探し出す「スキャン」機能が備わっています。この機能を使うことで、テレビは新しい地域の電波に合わせて最適なチャンネルを再調整し、受信不良を解消してくれるでしょう。
テレビの電波が悪いときの対処法①アンテナレベル
テレビの映りが悪くなる主な原因のひとつに「アンテナレベル」の低下があります。アンテナレベルとは、テレビが受信している電波の強さを数値化したものです。基準値を下回ると映像が乱れたり、映らなくなったりします。そんなアンテナレベルの低下には、さまざまな原因が考えられます。まずは、現在の受信状態を確認し、問題の原因を特定することから始めましょう。適切に対処すれば、映像の乱れが改善する可能性があります。
アンテナレベルの確認方法
アンテナレベルは、リモコンの操作で簡単に確認でき、テレビが受信する電波の強さを知る手がかりになります。メーカーごとの基準値を参考にして、適切なレベルかどうかをチェックしましょう。
たとえば、パナソニック製のテレビでは、アンテナレベルが「44以上」であれば、電波状況は良好とされています。もし、表示されたレベルが推奨値より低ければ、映像に乱れが生じ、ノイズが入る可能性が高くなります。
また、ソニーは「緑色」で表示されていれば、受信状態は良好です。もし「黄」や「赤」の表示が出ると、受信状態が不安定であることを意味し、調整が必要です。
一方、東芝は、機種ごとに最適なレベルが画面上に表示されます。一般的に、アンテナレベルが「30〜65」の範囲内であれば、安定した信号を受信していると考えられます。 表示されたレベルがメーカーの推奨値を下回っている場合、アンテナの調整やケーブルの確認、または信号の増幅が必要かもしれません。
アンテナの向き
意外に見落とされがちなのが「アンテナの向き」です。
地デジ放送の電波は、各地域にあるテレビ塔や中継局から送信されています。そのため、送信所がある方向に正しく向いていないと、電波を十分に受信できません。わずかなズレでも映像に影響を与えるため、まずはアンテナの向きを確認することが大切です。
たとえば、東京の場合は東京スカイツリーを目指してアンテナを向ける必要があります。自宅周辺の送信所位置は、A-PAB(放送サービス高度化推進協会)などで確認できます。 もしアンテナが手の届く範囲にあれば、自分で調整を試みることもできますが、1度ずつ微調整するなど非常に手間がかかります。また、屋根の上など高所での作業は危険を伴うため、無理に調整せず、専門の業者への依頼を検討しましょう。
アンテナ周辺の障害物
テレビの映りが悪い原因のひとつとして、アンテナとテレビ塔の間にある障害物が考えられます。
障害物は、目に見える大きなものだけでなく、意外な日常品が原因になっているケースも少なくありません。たとえば、成長した庭木の枝葉がアンテナにかかったり、ベランダに干した洗濯物がアンテナを覆ったりして、電波を遮ることがあります。こうした場合、枝を切り、洗濯物の干し場所を変えるだけで改善する可能性があるでしょう。 また、山間部や高層ビルに囲まれた地域では、建物や地形が電波を遮ってしまう場合があります。さらに、高い建物に反射した電波が遅れてアンテナに届くことで、映像が乱れてしまいかねません。
気候が関係している場合も
テレビの映りが悪くなる原因には、雨や雪といった気候の影響も挙げられます。とくに、BS放送など衛星を経由する電波は、天候の影響を受けやすい傾向にあります。そのため、雷雨や記録的な豪雨の際には、地域全体で受信障害が発生することも珍しくありません。
具体的には、雨粒や雪片は電波を吸収・反射する性質を持つため、大雨や大雪が降ると、電波が減衰して受信が弱くなる「降雨減衰」や「降雪減衰」が発生します。この現象により、映像が乱れる、音声が途切れる、または完全に視聴できなくなることがあります。 もし悪天候の影響でテレビが映らなくなったら、天候が回復するのを待ってみましょう。ただし、軽い雨や雪でも問題が生じる場合は、アンテナやケーブルの状態に問題がある可能性があります。
地域の電波レベルが低い・電波障害が起きている
山間部や高層ビルに囲まれた場所では、電波塔からの距離や周囲の障害物の影響で、そもそも電波が届きにくい「弱電界地域」に該当する場合します。
弱電界地域では、一般的なアンテナでは十分な電波を受信できないことが多いため、受信感度の高いアンテナや、電波を増幅するための「ブースター」の設置が必要です。複数台のテレビを接続している場合でも、ブースターを取り付けることで全体の電波が強化され、安定した視聴が可能になります。
また、地域全体で電波障害が発生している可能性もあります。周囲の建築工事などで電波の受信状態が悪化するケースや、高層ビルが建設されることで電波が反射・遮断されることもあるでしょう。電波障害は、個別での対応が難しいため、専門業者への相談をおすすめします。 なお、地デジ電波の適正な受信レベルは、一般的に47dB〜81dBとされています。しかし、強すぎる電波(90dB以上)でも画面が乱れる原因になるため、アンテナの選び方や設置位置を慎重に考慮することが大切です。
テレビの電波が悪いときの対処法②周辺機器の不調
テレビ映りが悪くなる原因は、アンテナや地域の電波状況だけでなく、周辺機器や接続環境にも密接に関わっています。たとえアンテナが正常に信号を受信していても、周辺機器に不具合があると、映像の乱れや音声の途切れが発生することがあります。 問題を解決するためには、まず各機器の接続状態を確認し、必要に応じて再接続や交換を行うことが大切です。テレビの映りが悪い原因を特定し、適切な対処をすることで、再びクリアな映像を楽しめるでしょう。
ブースター(増幅器)
映像が不安定なとき、ひとつの大きな原因として「電波が弱い」という問題があります。テレビの映像をスムーズに表示するには、安定した信号が必要です。
しかし、都市の中心部や高層ビルに囲まれたエリア、さらには山間部などでは、アンテナから送られる信号が弱くなるケースも少なくありません。そのため、映像が乱れたり、画面がチラついたりする現象が発生します。
こうした状況に対処できるのが「ブースター(信号増幅器)」です。ブースターは、弱い電波を増幅してテレビまで届けるための機器です。電波が弱い場所や、建物の影響で電波が届きにくい場所で効果を発揮してくれるでしょう。
しかし、ブースターを設置しても映像が改善されない場合もあります。改善されない場合は、まず電源が入っているか、設定が正しいかを確認することが大切です。 また、ブースターには、視聴に必要な信号だけでなく、電波に含まれるノイズも一緒に増幅してしまうというデメリットがあります。ブースターの設置が効果的か判断するには、専門知識を持つ業者への相談をおすすめします。
ケーブル
ケーブルは、アンテナから受け取った電波をテレビまで届ける重要な役割を果たします。そのため、ケーブルに問題があると映像が乱れたり、完全に映らなくなったりすることがあります。
もし、テレビと壁のアンテナ端子の間にレコーダーやほかの機器を接続している場合は、その機器を一度外し、直接テレビと壁の端子をつなげてみましょう。この方法で映像が改善されれば、問題は接続機器やケーブルにあることがわかります。
なお、アンテナケーブルは通常、白または黒のビニールで覆われているため、外見だけでは断線や劣化が確認できません。もしテレビが映らない場合は、ほかの部屋のケーブルを一時的に使って接続し直すことで、問題がどこにあるのかを確認できます。 もし、断線や劣化が確認された場合は、新しいものに交換しましょう。
レコーダー
テレビに接続したレコーダーが原因で映像や音声に不具合が生じることもあります。
- 配線間違い
よくあるミスとしては、入力(信号を受け取る端子)と出力(信号を送る端子)を逆に接続していることです。テレビでは映るのにレコーダーを通すと映らないのであれば、配線が正しいかどうか再確認してみてください。
- ケーブルの不具合
HDMIケーブルや同軸ケーブルが断線していることも、映像の不具合を引き起こす原因となります。なぜなら、ケーブルの被膜が破れたり、折れ曲がったりすると、信号が正しく伝わらず映像が表示されないからです。ケーブルを新しいものに交換することで解消されるでしょう。 レコーダーを経由して視聴する場合、レコーダーの配線ミスやケーブルの不具合で映像が映らないケースも少なくありません。まずはレコーダーの接続などを見直すことが重要です。
マンションやアパートなどでテレビの電波が悪いときの対処法
集合住宅に住んでいると、テレビの映像が途切れたり、ノイズが入ったりするトラブルにどう対応していいのか悩むケースも少なくありません。
すべての部屋で発生しているのか、それとも特定の部屋だけで起こっているのかによって、原因や解決方法は異なります。まずは、発生しているトラブルの状況を正確に把握することが大切です。 ここでは、マンションやアパートでテレビの電波が悪くなる原因と、各ケースに応じた具体的な対処法を紹介します。
全部屋で映らない場合は管理会社へ連絡
すべての部屋でテレビが映らない場合、建物全体のアンテナ設備に問題があることが考えられます。 集合住宅でテレビ信号を受信する方法は、おもに以下の3つです。
- 共同アンテナ
- ケーブルテレビ
- 光回線
そのなかでも最も一般的なのは、共同アンテナを使用する方法です。共同アンテナで受信したテレビの電波は、建物内で分配され、各部屋に届けられます。そのため、不具合があると、すべての部屋でテレビが映らなくなります。 個人で判断するのは難しいため、まずは管理会社に連絡して、建物全体の設備の点検や修理を依頼しましょう。
自分の部屋だけ映らない場合は周辺機器をチェック
もし自分の部屋だけ映らないなら、問題は周辺機器に関連しているケースが一般的です。まずは、以下のチェック項目を確認しましょう。
- ケーブルの接続状況
- 周辺機器
- アンテナの状態
- テレビの設定 など
チェックをしても問題が解決しない場合、テレビ本体の寿命やアンテナなどの故障も考えられます。
引っ越し直後ならチャンネルスキャンを試す
引っ越し後にテレビが映らない場合、最も考えられる原因のひとつは、新しい地域に合ったテレビ局の設定がされていないことです。地デジやBS放送のチャンネルは地域ごとに異なるため、引っ越し先ではテレビの「チャンネルスキャン」を実行する必要があります。 チャンネルスキャンとは、テレビが自動的に周囲の放送局を探し出して、受信できるチャンネルを設定する作業です。チャンネルスキャンすることで、新しい地域に対応したチャンネルが正しく設定され、表示されるようになるでしょう。
テレビの電波が悪いとき自分で交換できるパーツ
テレビの映りが悪くなる原因のひとつに、アンテナやケーブルなどの周辺機器に不具合があることが挙げられます。これらの問題は、修理業者に依頼しなくてもご自身で簡単に交換できるケースも少なくありません。 パーツを自分で交換することで、手間や費用を節約し、迅速に問題を解決できるでしょう。
ブースター(増幅器)
ブースターは、アンテナから受け取った弱い信号を増幅してテレビに送る役割を果たします。とくに、電波が弱い地域やアンテナの位置が適切でない場合に効果的です。 なお、ブースターには、大きく以下の2つに分けられます。
- 屋内(電源分離用)
- 屋外(電源一体型)
屋内用ブースターは、テレビ端子とテレビまたはレコーダーの間に取り付けるタイプです。個人でも簡単に設置できるように設計されているのが特徴です。アンテナ自体が十分な電波を受信しているものの、映像が時々乱れる場合に適しているでしょう。 一方、屋外用ブースターは、アンテナの近くに増幅部を設置し、テレビの近くに電源部を取り付けるタイプです。電波が弱い地域や複数台のテレビを使用している家庭で高い効果を発揮します。ただし、屋根など高所作業になるため、個人で設置するのは危険をともないます。屋外用を導入したい場合は、専門の業者に依頼しましょう。
アンテナケーブル
アンテナケーブルが劣化すると、信号がうまく伝わらなくなり、映像が途切れたり、映らなかったりすることがあります。古くなったり、断線したりしたケーブルは交換することで、問題が解決するでしょう。 なお、アンテナケーブルを交換する方法は以下のとおりです。
- テレビの電源を切る
- 古いケーブルを外す
- 新しいケーブルを接続する
- テレビの電源を入れる
- 受信状況を確認する
交換時のポイントは、古いケーブルのサイズや形状、壁の端子タイプ(地デジかBSCSか)を事前に確認することです。必要であれば、ケーブルを家電量販店で見てもらい、適切なものを選びましょう。
B-CASカード
地デジやBS放送を視聴するために必要なB-CASカードも、テレビが映らない原因となることがあります。カードが正しく挿入されていない、破損している、あるいは劣化している場合には、カードを取り出して再挿入する、または交換することが効果的です。 なお、B-CASカードはインターネットや店舗で直接購入することはできません。もし破損、紛失、盗難などで再発行が必要になった場合、B-CAS公式サイトから手続きが可能です。再発行には費用がかかり、2,310円(送料・消費税込み)となります。
室内アンテナ
屋外アンテナの設置が難しい場合や引っ越し直後、賃貸物件で外壁工事ができない場合に便利なのが、室内アンテナです。室内アンテナを使用することで、屋外アンテナがなくてもテレビ放送を受信できます。
しかし、受信範囲や複数台での利用には限界があり、映像の乱れが気になる場合もあります。生活環境や使用状況に合わせて、室内アンテナが適しているかを確認し、必要に応じて設置を検討しましょう。 もし、自分で室内アンテナを設置しても電波状況が改善されない場合や設置が難しいようであれば、屋外アンテナの修理や設置を専門業者に依頼することをおすすめします。プロに任せることで、確実にテレビ映りを改善できるでしょう。
まとめ
テレビの映りが悪い原因はさまざまです。まずはテレビの再起動や、テレビの受信レベルを測定し、電波が十分に届いているか確認することから始めましょう。また、接続ケーブルや端子に異常がないかをチェックするのも重要です。それでも改善しない場合、アンテナの向きが電波塔の方向と合っていない、アンテナ自体の劣化、さらには周囲の障害物が影響している可能性があります。
しかし、屋根上に設置されたアンテナの調整や設置作業は高所作業であり、転落や設備の破損といったリスクをともないます。無理にご自身で作業をせず、専門業者に依頼しましょう。
なお、電波が弱い原因はアンテナだけでなく、コードの傷みやブースターの故障といった複数の要因が絡んでいるケースも少なくありません。電材ネットでは、アンテナ部品や増幅器、電波状況を測定できるレベルチェッカーなど、テレビ映りの改善に役立つアイテムを豊富に取り揃えております。 電波環境を見直したい方は、ぜひご検討ください。